著者
柳澤 憲史
出版者
長野工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

冬季の災害において毎年頻発している着雪氷による災害の防止技術として期待される超音波振動を利用した超滑水性CNT複合シートを開発し、滑水性におけるCNT複合シートへの超音波振動の効果を明らかにし、超音波振動影響下でのCNT複合シートの雪の滑り落とし性能を検証することを目的としている。CNT複合シート表面の水滴および雪粒が振動により滑水性を向上させることを確認し、振動の振幅と周波数が与える影響について考察した。
著者
養父 佐知子
出版者
昭和大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、リウマチ様関節炎を自然発症するHuman T cell Leukemia Virus Type I (HTLV-1) 遺伝子導入(Tg)マウスに核酸・核タンパク(NP)1.2%含有餌を3ヶ月間摂取させた。その結果、関節肥大、組織の増悪抑制や、NO酸化代謝物(3-ニトロチロシン)の低下が認められた。さらに、電子スピン共鳴法(ESR)を用いてNPが一重項酸素およびNO消去能を示すことをin vitroの実験で明らかにした。しかし、生体内に摂取された後のNPのフリーラジカルに対する作用は不明である。そこでリポポリサッカライド(LPS)誘導性肝傷害モデルマウスを作製しNP摂取の作用を調べた。その結果、NP摂取は過剰産生されたNOを直接消去するだけでなく、クッパー細胞の活性化抑制やiNOSタンパクの発現抑制により肝傷害を改善することが明らかとなった。
著者
五十嵐 悠紀
出版者
明治大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では初心者の着付けを情報技術を用いて支援するシステムを検討・構築した.また半幅帯に注目し,半幅帯の帯結びを1 本のつながったものではなく,パーツの集合体として扱うというアイデアをもとに,(1)帯結びをデータ化して扱うシステム,(2)実世界でパーツの組み合わせによってさまざまな帯結びに変えられる帯「組み替え帯」の提案,(3)帯結びエディタによって作成したデータから組み替え帯を組み立てるための支援ソフトウェア,の3つの提案をした.また,提案システムに対してユーザインタビュー調査を行った.
著者
山中 仁美
出版者
名古屋商科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、第1次世界大戦から第2次世界大戦までの期間(以下「戦間期」と記す)のイギリスにおける国際関係学の発展を、ナショナリズムをめぐる議論と関連付けながら歴史的に再検討することを目指した。研究の過程においては、新設されたシンクタンク「王立国際問題研究所(通称「チャタム・ハウス」)」の研究グループの議論に着目し、そこで戦間期の国際関係をめぐる概念や理論が、日々変化する国際政治情勢など経験的な事実と擦り合わされながら発展したことを明らかにした。これにより、国際関係をめぐるさまざまな知的営為が歴史的文脈を離れて抽象的には思弁され得ないことが示唆され、学説史研究に一つの視点を付け加えるに至った。
著者
鈴木 圭輔
出版者
獨協医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

我々はパーキンソン病やアルツハイマー病を含む8つの神経変性疾患患者156例を対象に血清インスリン様成長因子(IGF-1)値と臨床症候との関連を調査した.結果,各疾患において血清IGF-1値に有意差はみられなかった.パーキンソン病患者では血清IGF-1値は年齢および日常生活動作の障害と負の相関を示し,線条体におけるドパミントランスポータースキャンの集積および前頭葉機能と正の相関を示した.またアルツハイマー病患者では血清IGF-1値は年齢,罹病期間,日常生活動作の障害と負の相関を示した.本研究により神経変性疾患における血清IGF-1値の測定が疾患進行の評価に有用である可能性が示唆された.
著者
上田 真史
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

脳内に存在するニコチン性アセチルコリン受容体に結合する放射性プローブを用いて、慢性的な痛覚過敏状態(神経因性疼痛)でのニコチン受容体およびその神経系の機能変化を調べ、鎮痛作用に関与する部位を明らかにすることを計画した。その結果、神経因性疼痛状態で視床に存在するニコチン受容体が増加していることを見出した。実際に視床に薬物を投与したところ、鎮痛作用が認められたことから、視床に存在するニコチン受容体が神経因性疼痛抑制に関与する可能性が明らかとなった。
著者
橋川 裕之
出版者
静岡県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、東ローマ/ビザンツ帝国において展開した教会と修道院を対象とする改革運動を体系的に考察し、その特質を包括的に把握することを意図したものである。同時代の記述史料の分析と修道院遺跡の地誌的調査を同時に進めた結果、改革の多くの局面で、生活規律の強化ないし古代的伝統への回帰を追求する修道士集団が主導的な役割を果たしており、彼らの政治的理想が改革の範囲と方向を規定していたことを明らかにした。
著者
千葉 文子
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

死体の個人識別のために、年齢推定は重要であり、骨の観察は古くから年齢推定の手段として用いられてきた。しかし、骨の観察による年齢推定の確実な手段は、特に成人死体においては現在も確立されていない。法医学領域でCTの導入が進んでいるが、CT画像を用いた人類学的な骨の評価は現在研究が進められている分野である。本研究では、恥骨結合をCTで観察し、恥骨結合面の中央で、左右恥骨が平行になる部分が加齢に伴い増加する傾向にあることを示した。直線回帰分析による年齢推定式を求めたが、従来法より優れたものではなかった。また、通常の法医解剖では観察が困難である口蓋縫合の観察も試みた。
著者
廣瀬 圭
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,スキー・ターンの運動を明らかにするための解析法の開発と実際の雪面を滑走するスキーヤーによる計測実験を行い,これまで示されていなかった新しい運動情報を示した.計測システムは,慣性センサ・地磁気センサを搭載した運動計測システムとGPSレシーバを搭載した滑走軌跡計測システムを開発し,得られた計測情報からスキーヤーの関節角度,滑走速度を推定する方法を構築した.計測実験は,カービングターンとスキッディングターンについて行い,運動解析を行うことによりターンの違いによる運動の違いを定量的に示した.
著者
澁谷 和幹
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の運動神経細胞死の原因の一つとして、運動神経の過剰興奮性が考えられている。ALS運動神経細胞死と過剰興奮性の関係を支持する所見として、以下の報告を行った。運動神経興奮性増大を示唆する筋痙攣とALS進行速度の関係を報告した。脱力の発症前から筋痙攣のある患者の方が、ALS進行速度が速かった。また、ALS皮質運動野の興奮性増大は、病期の進行と共に顕著となることを報告した。更に神経興奮性制御と細胞死の関連を検討するため、Naチャネル阻害薬であるラコサミドを用いてALS患者を対象とした臨床試験を実施した。
著者
奥 裕介
出版者
岩手医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

癌遺伝子産物YAP/TAZの機能を阻害する化合物として、フルバスタチン、ダサチニブ、パゾパニブを同定した。これらは、Hippo経路を活性化し、YAP/TAZの核移行を阻害した。乳がんと大腸がん細胞株におけるこれらの薬剤に対する感受性は、YAP/TAZの依存性とよく相関していた。これら3種の医薬品のコンビネーションによって、効率よくMDA-MB-231乳がん細胞の増殖を抑制することができた。更に、これら3つの薬剤は、古典的な抗癌剤との併用により相乗的にMDA-MB-231細胞株の増殖を抑制した。以上の結果は、これらの薬剤がYAP/TAZ依存性の乳がんに対して有効であることを示唆している。
著者
高橋 大介
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は,PCクラスタにおける高速フーリエ変換(fast Fourier transform,以下FFT)の並列アルゴリズムの実現および評価が挙げられる。近年,PCクラスタの普及に伴い,並列FFTアルゴリズムが様々な研究者によって提案されており,ライブラリとなっているものも多い。ところが、これらの並列FFTアルゴリズムはデータ数がN=2^pのように,2のべき乗で表される場合についてのものが多い。そこで本研究では,PCクラスタにおいてデータ数がN=2^p3^q5^rの場合について多次元の並列FFTアルゴリズムの実現および評価を行った。PCクラスタでは,一つのノードがSMP構成になっている場合があり,この場合にはPCクラスタが共有メモリ型並列計算機と分散メモリ型並列計算機の両方のアーキテクチャの特性を兼ね備えたものになるが,それぞれのアーキテクチャにおいて最適な並列FFTアルゴリズムは異なるために,本研究では異なるアーキテクチャについてそれぞれ並列FFTアルゴリズムを実現し,評価を行った。そして,これらの並列FFTアルゴリズムを実際にPCクラスタ上に実現し,今までの逐次FFTアルゴリズムに対する性能向上率を評価した。さらに,並列FFTアルゴリズムでは,各プロセッサ内におけるFFTの計算量をできるだけ削減する必要があるが,より演算量の少ないFFTアルゴリズムについても研究を行った。また,平成15年度に行った研究成果を,国際会議等で発表すると共に,それらの内容をまとめて学術雑誌等で論文を発表した。
著者
山下 剛範
出版者
鈴鹿医療科学大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

我々は4.5Gy全身X線照射後のマウス小腸損傷に対するタウリン投与を検討した。タウリンは放射線曝露後の小腸におけるタウリントランスポーター発現の減少を抑制した。さらに、タウリンは放射線誘発による酸化的損傷を抑制した。これらの結果は、タウリンがタウリントランスポーターを介してタウリンの損失を補い、おそらくサイトカインやROSによって引き起こされる炎症を抑制することにより、放射線誘発性の小腸損傷からの回復に寄与することを示唆している。
著者
阿部 史佳
出版者
大分大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

性差による口腔扁平上皮癌の病態の違いをみるため、まず40歳未満の若年口腔癌患者を26人(男性15人、女性11人)対象に、生活歴、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染率、エストロゲン受容体α(ERα)とエストロゲン受容体β(ERβ)の発現に差があるか否かを検索した。喫煙者は男性77%、女性患者18%と圧倒的に男性患者に多く、HPV感染率は男性 53.3%、女性63.6%(全体は57.7%)とやや女性に多かった。ERαは癌細胞の細胞質と一部の細胞核に、ERβは癌細胞の細胞核に陽性を示し、両者の発現パターンに男女間での違いを認めなかった。若年口腔癌では性差による差を捉えることができなかったため、次に口腔多発癌患者に対象を変え、口腔潜在的悪性疾患OPMDの有無を検討した。この結果、OPMDを73.3%の症例に認め、その内訳は口腔扁平苔癬OLPが最も多く(46.7%)、次いで口腔白板症(20%)であった。またOLPを併発した口腔多発癌患者の71.4%が女性であったことから、OLPが女性の口腔多発癌の発症と関連することが示唆された。そこで女性の口腔多発癌と男性の単発口腔癌では口腔発癌過程の違いがあるものと仮説をたて、まず早期癌18例(男性12例、女性6例)を対象に癌周囲粘膜における異型上皮の有無を検索したところ、女性では4例(66.7%)、男性では1例(8.3%)で口腔癌から離れた部位にスキップした異型上皮を認めた。このことは女性では多中心的に口腔発癌が生じやすい傾向を示しており、OLPを前駆疾患とする口腔多発癌が女性に多いことと合わせて注目すべき所見と考える。現在、口腔発癌の初期に高頻度に生じることが報告されている遺伝子変異(9p21と3p14領域のヘテロ欠失)に注目してさらに検索を進めている。
著者
高橋 一秋
出版者
長野大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

クマ棚の分布は尾根に集中した。クマ棚形成に伴って形成された小規模林冠ギャップの面積は、尾根において年間1haあたり141.3m2にも達し、この面積は調査地区の尾根に創出した倒木ギャップ面積の約6.6倍であった。林冠層における開空率および液果植物の結実率は閉鎖林冠下より小規模林冠ギャップ下のほうが高い値を示した。センサーカメラによる観察から、鳥類および哺乳類がクマ棚を採餌、貯食、休憩、繁殖の場所として利用していることが明らかになった。
著者
加納 和彦
出版者
国立感染症研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

感染症発生動向調査(NESID)の全数把握対象疾患(87疾患)の届出データの可視化・分析システムの設計、開発、及び改良を行った。本可視化システムは、リアルタイムな感染症発生(報告)状況把握と異常検知、週報集計時点の報告数と今後の動向予測、過去の発生動向データとその関連情報が参照できる感染症情報ライブラリの機能を備えたシステムとして開発を進めた。具体的には、時・人・場所の観点からデータを容易に把握できるように工夫し、過去の平均的な増加率に基づく年間累積報告数の見積値を確認できるようにするとともに、感染症発生動向調査やその周辺制度に関連する様々な情報を紐づけて表示する機能を実装した。
著者
中井 浩三
出版者
香川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

表皮のフィラグリン発現低下による皮膚バリア機能障害はアトピー性皮膚炎の原因である。我々はフィラグリン発現が低下したアトピー性皮膚炎モデルマウスでは皮膚バリア機能に重要なEGFR、E-cadherin、Occludinの発現が低下していることを発見した。抗酸化剤であるNアセチルシステインを同マウスに投与したところ、一部改善された。さらに、Nアセチルシステインをヒトアトピー性皮膚炎患者に外用したところ皮膚バリア機能は改善した。以上のことから酸化ストレスが角化と皮膚のバリア機能を低下させていることが示唆された。
著者
李 恩瑛
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

食物からの脂肪の過剰摂取は糖尿病を惹起するが、そのメカニズムは多くが不明である。我々はインスリン抵抗性だが耐糖能は正常であるインスリン受容体変異マウスに、高脂肪食を負荷すると顕性の糖尿病を発症することを見いだし、そのメカニズムを解析した。解析の結果、このマウスでは脂肪組織での脂肪分解が亢進し、産生されたグリセロールが肝臓で糖新生に利用され、高血糖が誘発されることが明らかになった。
著者
柿崎 裕彦
出版者
愛知医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

目的:本研究は、ミュラー筋の水平方向の延長と眼球周囲平滑筋との連続性を調べることを目的とした。使用標本:10%ホルマリンで固定された日本人の20眼窩(右10眼窩、左10眼窩)。男性8例、女性8例で、年齢は61歳から93歳、平均年齢は78.4歳であった。方法:眼窩縁を360度切開し、骨膜を眼窩先端部まで剥離する。神経、血管や鼻涙管などの骨壁から出ている構造を切開する。眼窩外側壁をはずし、眼窩縁から3cm後方までの眼窩組織を取り出す。その眼窩組織を上眼瞼縁から15mm上方と眼球の3時、9時を含む面で切る。作成された標本は脱水の後、パラフィン処理し、7μmの厚さで切り、マッソントリクロームで染色した。Masson Trichrome.結果:全ての標本でミュラー筋は内側、外側へ伸びていた。内側では、平滑筋を含む内直筋のプリーへ連続していた。外側では、涙腺眼瞼部の被膜を経由して、外直筋のプリーへ連続していたが、12標本では後部で直接に外直筋のプリーへ連続していた。結論:ミュラー筋は内側、外側へ延びて、眼球周囲平滑筋ネットワークに連続していた。本研究によって、ミュラー筋は上眼瞼での独立した構造ではなく、眼球周囲平滑筋ネットワークの一構成要素であることが明らかになった。
著者
長谷川 徹
出版者
京都府立医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

口腔顎顔面領域の外傷や手術後の合併症として、三叉神経に神経麻痺等の障害が起こることがある。このような障害に対し、従来から保存的な治療法として理学療法や薬物療法が選択されてきた。理学療法である高周波の電気刺激では微少血管の拡張、神経伝達速度の上昇、痛覚閾値の上昇などの効果について報告されている。しかし低周波・高周波混合の電気刺激による効果についての検討は未だ報告されていない。そこで、神経障害に対して低周波・高周波混合の電気刺激による効果についての研究を行った。まず、一定の刺激により神経系細胞に分化することが報告されている骨芽細胞(MC3T3-E1)に対し低周波・高周波混合の電気刺激を加え検討した。出力は1~4mAで、刺激時間は1~10分間とした。結果、出力に係らず5分間の電気刺激により細胞活性の増大を認めた。次に、ALP活性およびヒアルロン酸の産生について検討した。結果、出力が2mA、10分間電気刺激した群でcontrol群に比べ、有意なALP活性の上昇を認めた。一方、ヒアルロン酸の産生量は、control群と刺激群では変化がなかった。これより低周波・高周波混合の電気刺激は、骨芽細胞の増殖と分化を促すことで、骨形成の増大に関与している可能性が示唆された。また、オトガイ神経支配領域に知覚鈍麻を認めた症例に対し電気刺激療法をおこなった。他覚的な評価を口腔顔面機能学会の規定するスコア化の基準に従いスコア化した。その結果、治療開始後3ヶ月でスコアが改善した。また自覚的な評価をVASにより生活支障度および自覚症状で評価した。それぞれ10例中6例および7例で改善していた。以上より、理学療法である低周波・高周波混合の電気刺激により神経障害が改善する可能性が示唆された。