著者
大西 宏一郎
出版者
大阪工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、特許の書誌情報を用いて3つの分析を実施した。第一に、発明報奨制度の導入・改訂が企業の研究生産性に与える影響を分析した。第二に、発明者レベルの発明履歴データを用いることにより、企業内研究者の学歴と発明生産性の違いを見ることで、課程博士教育の効果について検証した。第三に、燃料電池分野における企業間・産学官の共同研究の実施状況および成果の権利配分の状況について分析した。
著者
西村 勉
出版者
公益財団法人先端医療振興財団
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

過去40年分の日毎、都道府県別、疾患別の死亡データを厚労省から入手した。過去40年分の日毎の宇宙・気象等の環境要因を入手した。1972年から2013年のデータを用いて、各疾患による日毎の死亡者数と宇宙・地球に関連する環境要因との関連性を検証した。多くの環境要因と多くの疾患による死亡者数との間に相関がみられた。研究代表者が台湾の中国医薬大学との共同研究において、地磁気の擾乱と自殺者数との相関について日本の結果の再現性を台湾のデータで確認した。さらに他の疾患についても環境要因との関連性を検証し、重要疾患の増悪予測モデルを構築した。
著者
多田 春江
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

日本全体の月毎の自殺者数と月毎のK指数平均値との関連性を、他の要因を調整した上で、重回帰分析を用いて男女別に解析したところ、男性では、統計学的に有意な相関がみられたが、女性ではみられなかった。地磁磁気の擾乱が自殺に影響を与えるのであれば、地磁気の強い場所ほど、地磁気の変動も大きいため、自殺者数が増える可能性が考えられる。そこで、都道府県別の月毎の自殺による標準化死亡比と各都道府県の地磁気の強さとの関連性を、他の要因を調整した上で、重回帰分析を用いて男女別に解析したところ、男性では、統計学的に有意な相関がみられたが、女性ではみられなかった。
著者
吉村 征浩 山下 広美 丸田 ひとみ 荒木 彩 荒岡 千尋
出版者
岡山県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

酢酸摂取はメタボリックシンドローム予防に効果的であり、ラットにおいて運動持久力を増加させ、骨格筋におけるミトコンドリア生合成の増加、筋線維の遅筋化を引き起こす。本研究ではL6筋管細胞を用い、骨格筋における酢酸の作用機序を明らかにすることを目的とした。酢酸添加による作用には、酢酸代謝に伴うAMP/ATP比の上昇を介したAMPK活性化と、短鎖脂肪酸受容体GPR43およびカルシウムシグナル伝達を介したAMPK活性化が関与することが本研究において明らかとなった。酢酸摂取は、運動と同様の効果(AMPK遅筋線維の増加)を骨格筋にもたらし、新たなサルコぺニアの予防・治療法に繋がる可能性がある。
著者
折原 貴道
出版者
神奈川県立生命の星・地球博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

地中にきのこを形成する「地下生菌」は,胞子を風散布する一般的な地上性きのこ類とは異なり,陸棲小動物にきのこを摂食されることで胞子を散布すると考えられてきた.そのため,海洋島への分散は困難であると考えられるが,実際には海洋島においても複数種の地下生菌が見つかっている.本研究では,海洋島に分布を広げている地下生菌がどのようなメカニズムで分散しているのかを,複数遺伝子領域による系統解析や集団遺伝学的解析,さらに野外での無性胞子の探索などの方法により明らかにしてゆくことを主な目的とする.令和元年度の研究実績の概要は以下の通りである.・海洋島-日本本土間,および大陸島-本土間での地下生菌の分散パターンの比較を目的とした,各地での地下生菌子実体サンプリング・得られた標本からのDNA複数領域シーケンスの取得と分子系統解析,および一部の種についての培養法の検討・次世代シーケンサーを用いた集団遺伝学的解析過去に殆ど地下生菌調査の為されていないトカラ列島をはじめとする南西諸島や,伊豆諸島などの島嶼域での子実体サンプリングを実施し,それにより有益な分子データが得られた.また,本土における比較用サンプルも多く追加することができた.次世代シーケンサーを用いた集団遺伝学的解析についても,共同研究者の協力のもと,これまでの複数DNA領域の分子系統解析結果と同傾向の結果が得られ,現在この結果のブラッシュアップを図っている段階である.また,2019年5月には,本研究の研究成果を一部含む一連の研究に対し,一般社団法人日本菌学会より奨励賞を授与され,本研究成果を含む受賞講演を行った.その他,島嶼域での調査で得られたデータをもとに,国際会議において発表を行った.また,日本本土および伊豆諸島で得られた一部の希少種についての新所見を論文として出版した.
著者
和久 大介
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

研究計画当初に予定していた10個体のニホンカワウソ標本の解析を実施した。その結果、複数個体から目的のミトコンドリアゲノム配列を決定した。このように、本研究実施により新たなデータを得られた。また、当研究計画期間中に日本国内において生きたカワウソが見つかり、その糞からもミトコンドリアゲノム配列を得ることができた。さらに、本研究計画の進行中に全ゲノムによる解析を目指し、ユーラシアカワウソ・コツメカワウソ・ビロードカワウソからドラフトゲノム配列のもととなるデータを得た。これらの結果は今後国際誌に投稿予定である。
著者
シェラス ヨアン
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

亜鉛含有率が高くアスタキサンチンを含む食品の、ヒトの睡眠における効能を調べた。120名の健康な被験者にランダム化・二重盲検・プラセボ対照にて並行群間比較試験を行い、アクティグラフで夜間活動を12週間記録した。試験は、亜鉛含有率の高い食品が睡眠導入を改善し、睡眠の質を高めると示した。この成果をもとに睡眠の質を向上させるサプリメントを開発し、株式会社富士フィルム ヘルスケアは「オキシバリアすっとねリッチ」として商品化した。さらに、研究結果の分子構造を理解するためのマウス実験を行い、亜鉛投与により活発化するニューロン群を特定した。これらのニューロンを刺激すると亜鉛投与に類似して睡眠量が増加した。
著者
大西 彩子
出版者
甲南大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-02-01

本研究では認知の歪みの修正という観点からのいじめ防止対策について検討するため,一般的な反社会的行動に関する選択的道徳不活性化(SMD)といじめに関する選択的道徳不活性化(SMDB)に着目し、それらがいじめの傍観経験、制止経験、加害経験、被害経験とどのように関連するのかを明らかにすることを目的とした。調査は,公立定時制高校の1~4年生12クラス260名を対象とした。その結果、いじめの加害および傍観行動と被害経験には、一般的な反社会的行動に関する認知の歪みであるSMDといじめの認知の歪みであるSMDBが関連していることが示された。
著者
有田 英之 市村 幸一 山崎 夏維 松下 裕子 成田 善孝
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

神経膠腫は成人悪性脳腫瘍の中で最も頻度の高い腫瘍である。同一の診断でも様々な経過を示すため、より詳細に臨床経過を反映した分類が可能なバイオマーカーの探索が望まれてきた。我々は、近年の神経膠腫の遺伝子解析で発見されたテロメア関連遺伝子、特にTERTに着目し、国内のコホートを用い、臨床経過との関連を詳細に検討した。TERTのプロモーター変異は、従来本腫瘍で予後因子として知られていたIDH1/2やMGMTと組み合わせることで、神経膠腫をより詳細に分類することができることを明らかとした。
著者
古川 貢
出版者
分子科学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

現在までに,ミクロンスケールの人工周期構造を有する強磁性パーマロイ(Fe_<20>Ni_<80>)の人工格子薄膜のX-band強磁性共鳴スペクトル測定により,2つの新しいモードが生じることを明らかにしてきた.このモードは,ミクロスコピックとマクロスコピックの中間領域であるセミマクロスコピックな量子機能と捉えることができ,このモードの詳細を解明することが目的である.そこで本研究ではESRイメージングという方法で,セミマクロスコピックスケールの新規量子磁気モードを可視化することを試みた.より大きな磁場勾配を作ることが,イメージングの分解能に直結する.高分解能ESRイメージングに必要な,大きな磁場勾配を作成するために,磁場勾配用コイルを検討した.単純なアンチヘルムホルツコイルでは勾配磁場の均一領域を稼ぐことができないことが明らかになった.つまり限られた空間のみを使用するためにイメージングを行うのに解像度が低くなるために不利である.そこで,MRIで開発された方法であるターゲットフィールド法を用いて最適な磁場勾配用コイルの形状を求めた.この方法を使用することで勾配磁場の均一な空間を大きく確保することに成功した.しかし,(1)ESR線幅が数百ガウス程度あること,(2)反磁場の影響でシグナルが大きく低磁場へシフトしてしまうという2点から,十分な分解能が得られない.これを回避するためには,高磁場ESRと高磁場勾配を組み合わせる高分解能ESRイメージングシステムの開発,もしくは,適当な物質を開拓する必要がある.そこで,高分解能ESRイメージングを目指して,Q-band ESRを使用した磁場勾配用コイルを開発へと発展させる予定である.
著者
坂巻 路可 豊平 由美子 柳原 延章 外山 健二
出版者
西南女学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、赤ワインに含まれる様々なポリフェノール化合物のなかで、カテコールアミン神経系への作用を示すフラボノイド化合物について検討した。フラボノイド化合物であるシリマリン、ケンフェロール、ケルセチンは、ニコチン性アセチルコリン受容体、電位依存性Naチャネル、電位依存性Caチャネルのそれぞれ異なったイオンチャネルを阻害することによりカテコールアミン分泌を抑制することが示唆された。
著者
武内 康則
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

契丹語の言語資料は、契丹文字で記された資料および漢文資料中に漢字による音写によって残されている。現地調査によって契丹文字資料の収集を行い、契丹文字資料の整理とデータベース化を進展させた。さらに、収集した言語資料を契丹語の音韻論・形態論・語彙の観点から言語学的に分析し、研究結果を論文にまとめて発表した。公刊論文では、1)契丹語の音素配列、2)複数を表す接尾辞、3)方角を表す語彙、4)数詞の再建、などの事柄を扱った。
著者
松本 万紀子
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

妊娠高血圧症の病態には、胎盤虚血や血管内皮障害が一因であると考えられている。アネキシンファミリーの一つであるAnnexin A2は線溶活性増強因子であり、今回の研究で正常妊娠に比し妊娠高血圧症例の胎盤ではAnnexin A2が高発現を示すことを確認した。さらに臨床経過の異なる二つの妊娠高血圧症群間で比較検討した。結果は状態の安定している妊娠高血圧症に比し、急性増悪のため急遂分娩を要した症例群はmRNAの発現が有意に上昇しており、児の出生体重も有意に低下していた。母体状態のみならず、胎児胎盤系の病態にもAnnexin A2が関与していることが示唆された。
著者
三谷 塁一
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

テオブロミンはカカオ豆由来のメチルキサンチン化合物である。テオブロミンを摂取させたマウスにおいて脂肪重量の増加が抑制され、脂質形成に関与する遺伝子の発現が抑制された。3T3-L1細胞を用いた実験から、テオブロミンはアデノシン受容体1(AR1)に結合すること、ユビキチンプロテアソーム系によるC/EBPβの分解を誘導することを見出した。さらにテオブロミンによるC/EBPβの分解誘導にはC/EBPβのSUMO化が関与した。以上の結果から、テオブロミンはAR1を介してC/EBPβのSUMO化と分解を誘導することで、脂質形成を抑制することが示された。
著者
原田 直樹
出版者
大阪府立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ホルモン療法後、前立腺がんが再発する機構について検討した結果、ホルモン療法に類似した状態では、アンドロゲン受容体(AR)がプロセッシングされ、C末端領域を欠く短鎖型ARが産生されることを見出した。この短鎖型ARは、リガンド非依存的な転写活性を持つことが予想された。また、レスベラトロールのAR機能抑制にはARのDNA結合を抑制することとARのアセチル化を減少させることが重要であった。さらに、レスベラトロールは短鎖型ARの機能も抑制することが推察された。
著者
加藤 正晴
出版者
日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では,画像注視時の乳児の視線パタンに着目し,顔認知の発達過程を検討した.視線パタンの類似度を定量化する手法を開発し,生後6ヵ月から13.5ヵ月までの乳児を対象として視線パタンを分析したところ (1)顔画像に対する視線パタンは発達と被験者間で共に互いに類似してくること,(2)家画像に対してはその変化がみられなかったことが示された.このことは,顔特有の認知的処理が発達と共に習熟化・効率化してくる様を捉えたと考えられる.また健常な成人及び自閉症スペクトラム障害者(ASD)に複数の顔画像を見せたところ,(3) ASDは顔特有の認知的処理が健常者ほど習熟化・効率化していないことが示唆された.
著者
冨尾 賢介
出版者
埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所)
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

子宮内膜症は慢性炎症性疾患であり新規治療法が待たれる。本研究では、オメガ3脂肪酸(以下ω3FA)の子宮内膜症抑制効果をin vitroで検証した。子宮内膜症患者の培養腹腔マクロファージ(以下Mφ)をω3FA処理下にLPSで刺激したが、TNF-α産生は抑制されなかった。そこでω3FAがMφのインフラマソーム活性を抑制し、IL-1β産生を抑制することに着目した。ω3FA処理下では、ニゲリシン刺激(インフラマソーム活性化の試薬)に対する培養腹腔MφからのIL-1β産生は抑制された。ω3FA はMφのインフラマソーム活性を抑制することで子宮内膜症の炎症を抑制し、新規治療戦略に繋がる可能性が示唆された。
著者
藤井 徹也
出版者
愛知県立看護大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

平成15年度は、14年度に引き続き、尿道留置カテーテル挿入時の在宅療養患者の陰部清潔ケア方法を明らかにするために、在宅で活用できる陰部の清潔方法の検討および在宅療養における陰部清潔保持についての実態調査に用いる質問紙内容を作成するために、陰部清潔保持について、援助を実施している医療職者から、現状についてインタビューを行った。セルフケアが行えない患者に対して、陰部に関する清潔保持の方法などの指導が行われていない状況があった。このことから、尿道留置カテーテル挿入患者に加え、陰部に関する清潔保持の援助を受けている患者についても実態調査が必要と考えられ、質問内容の検討を行い、今後調査実施の予定である。また、在宅において、陰部の清潔が必要とされる患者の多くは臥床状態にあることから、ベッドレスト実験の被験者(健康な青年期男子6名)の陰部清潔保持を目的として、殺菌効果のある酸性電解水(pH2.7,ORP1110mV,残留塩素30ppm)を用いて陰部洗浄を20日間実施した。洗浄前後の陰嚢部横の皮膚のpH,油分の測定および1日目、7日目、14日目、20日目の洗浄前後の尿道口および中間尿の細菌の同定を行った。分析方法は、pHおよび油分について対応のあるt検定を行った。その結果、酸性電解水での洗浄によりpHは6.0±0.5から4.9±0.5と有意に酸性(P<0.001)となり、また、物理的効果により油分についても103.8±31.8から74.3±30.5と有意に減少していた(P<0.001)。また尿道口および中間尿の細菌について、Satphylococcus spp.(コアクラーゼ陰性)、Corynebacterium spp.などが認められた。尿道口と中間尿の細菌は同種であった。20日間に皮膚の異常などの訴えはなく、発赤なども認めなかった。尚、研究参加の同意については、研究内容、プライバシーの保護及び研究協力を拒否できる権利とともに個別に説明を行い、同意を得た。
著者
吉田 明日香
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

近年、歯周炎は、循環器疾患のリスクとなる可能性があることが報告されてきた。我々は以前、基礎実験から、特定の歯周病原細菌感染が圧負荷心肥大、心臓の間質の線維化、血管周囲組織の線維化を促進し、心機能を低下させ、炎症性マーカーの発現を亢進させることを明らかにした。本研究の目的は、実験的モデルマウスを用い、歯周病原細菌感染が心肥大に与える影響とその機序を検討することとした。結果として、他の特定の歯周病原細菌感染によって心臓肥大を悪化させてしまうことと、特定の細胞表面に存在するタンパク質受容体を介して、心臓の間質の線維化の抑制と、炎症性マーカーの発現の抑制が起こることを明らかにした。
著者
西村 慎一
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

海綿に由来する抗真菌化合物theonellamideは細胞膜中のステロールと相互作用することで分裂酵母において細胞壁の異常合成を誘導する。本研究ではこの現象に着目して生体膜の恒常性を維持するメカニズムの解明を試みた。その結果、細胞骨格や細胞膜センサー等がtheonellamideの作用と密接な関連を持つことが明らかとなり、それらが細胞膜構造の維持に働いている可能性が示唆された。