著者
松本 義之 和多田 淳三
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.209-217, 1998-10-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1

規則性を見出しにくいデータを予測する方法に, カオス理論に基づく時系列データの短期予測がある.これは, 従来ランダムに推移すると思われていた時系列データをTakensの埋め込み定理を用いてアトラクタを多次元空間に再構成することにより, 短期予測を可能としている.しかし, ランダムプロセスと異なる幾何学的性質を持つ時系列データでも, 低次元のカオス性を示さない時系列データをカオスで予測することは困難である.そこで, 本研究では, それに関連する別の時系列データを同時に埋め込むことにより, 予測を行いたい時系列データのカオス性を抽出し, 予測精度を向上させることを目的としている.また, 本手法の有用性を示すため, 東京証券株式市場の日経平均株価の短期予測についてシミュレーションを行っている.
著者
曹 徳弼 圓川 隆夫
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.321-330, 1998-02-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究は多期間配送スケジューリング問題において, 車両台数や時間(資源)を一定にしたもとで, その利用率を最大にすることにより在庫や欠品削減を図る資源利用率最大化問題を提案するものである.具体的には1つのデボがN個の小売店に商品を供給する場合の多期間配送計画問題を考え, 週末に需要が高くなるような周期的に変動する需要に対して, 与えられた資源の利用率を最大化するとともに, 小売店における在庫水準と欠品率を最小限に押さえるための多期間配送計画モデルを構築し, その解法を提案した.提案したモデルおよび解法の有効性を検証するために, 自動販売機の実データとFTPサイトからのテストデータを用いて現状法および従来法を比較対象に数値実験を行った.その結果, 時間の利用率は最大99.67%まで上げるとともに, 平均最大在庫, 平均在庫, および欠品率を最大17.35%, 25.7%, および14.77%それぞれ削減でき, 資源利用率最大化の効果が表れた.
著者
津村 拓海 齊藤 史哲 石津 昌平
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.161-170, 2017 (Released:2017-11-15)
参考文献数
18

技術情報の複雑化・多様化に伴い,専門知識が異なる技術者や意思決定者の間で技術傾向に関する情報の共有が難しくなっている.こうした中で近年,テキストマイニングに基づいたパテントマップが注目されており,これを用いることで特許データから技術に関する知識の抽出・可視化が実現されている.本研究は,複数の分野を跨いで実用の可能性に富む技術に関する情報の可視化およびそれらに関する知識抽出を行うものである.提案法では出現した単語の情報を属性とし,技術分野などに関する情報をクラスとしたランダムフォレストの学習結果の内部モデルに対する解析を通じて知識抽出を行う.知識抽出にあたり,ランダムフォレストの内部モデルから特許文書間の類似度行列を作成し,多次元尺度構成法によるマッピングを行っている.ここで得られた出力結果に対してカーネル密度推定を施すことによって,適用領域を考慮した文書ベースのパテントマップが構築できる.また,非負値行列因子分解により,単語の類似性に基づいて次元縮約することでランダムフォレストの内部モデルの解釈を与えた.分析対象にはWeb上に公開されている特許に関する文書データを用いて分析を行った.
著者
髙野倉 雅人 三田 博也 峯垣 淳平 戸塚 健一
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.261-271, 2016

<p>加齢による歩行機能の低下を補う歩行車に制御機能を組み入れ,歩行支援機能を高めた製品が開発されている.本研究では,センサとモータによるロボット技術を搭載した歩行車の歩行アシスト効果を,歩行速度と歩行車に作用する加速度,ユーザの筋負担の観点から検証した.70~81歳の高齢者を対象に,ロボット技術搭載歩行車と従来製品を用いて,2つのハンドル条件で,上り坂,平坦路,下り坂を歩く実験を行った.人力に加えてロボット技術による推進力や制動力が付加されることで,上り坂だけでなく下り坂でも歩行速度が速くなるが,下肢や体幹の筋負担を軽減させていた.坂道などでの歩行をサポートすると同時に,身体負担を軽減させる効果のあることがわかった.</p>
著者
小野 道照 野渡 正博
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.61-70, 2002
参考文献数
15
被引用文献数
3

フラットな組織によるチーム・マネジメントが注目され, チームワークの重要性が再確認されている.本研究では, 産業界における実態調査に先立って擬似経営活動としての経営シミュレーションに着目し解析を行う.各チームにおけるチームワークの認識度と経営業績の関連性について考察し, チーム構成員の組織構造の差異を確認することを研究目的とする.結論としては, 次の仮説が採択され今後の実態調査の指針となった.仮説: 高業績チームは, 低業績チームよりもチームワークに対する認識は高い(平均値の比較).仮説: 高業績チームは分岐階層型であり, 低業績チームは分派型の組織構造である(クラスター分析).
著者
久宗 周二 岸田 孝弥
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.183-189, 1997
参考文献数
15
被引用文献数
2

自動販売機は, 日常生活で多く利用する機械の一つである.利用者が買い間違えた等のエラーが起こるが, 機械を購入するのが設置業者であるために, 利用者の意見が自動販売機の製造会社まで反映されないことが多い.そこで, 人間の行動特性を研究し, 自動販売機を改善する必要がある.はじめに, 自動販売機導入による利用者の行動の変化をモデル化し, 利用者に新たに加わった負担について研究を行った.次に, 自動販売機を利用しづらい年代である高齢者の利用頻度が多い駅の自動券売機で, 4,407人の利用者の行動を調査した.その結果.年齢別, 性別のエラー時の行動特性が観測された他, エラー後の対処の方法についても, 年齢によって特徴的な行動がみられた, それらの実態をふまえて自動券売機の表示の改善を行い, 3,817人の行動を調査した結果, エラーの低減, 及び利用者の行動に変化がみられたので報告する.
著者
石川 裕 坪根 斉
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.180-188, 2001-08-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
11

本研究は, 同一の製造設備を用いて見込品と注文品を生産する見込・注文複合生産システムを対象に, 見込品と注文品の製品設計の違いが製造のパフォーマンスにどのような影響を与えるかについて研究している.まず, 複数の機械が連結する多段階製造工程において2階層からなる階層型生産計画システムを構築し, 上位計画では能力余力を設定するための政策変数を, 下位計画では見込品と注文品の生産量を決定するための政策変数を導入する.様々な製品設計の違いが条件として与えられたとき, これらの政策変数が見込品の品切れ率および注文品の平均リードタイムに与える影響を明らかにし, 見込・注文複合生産システムを設計するためのガイドを提供している.
著者
Suriati AKMAL Rafael BATRES
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2E, pp.303-316, 2013 (Released:2013-11-22)
参考文献数
38

The representation of knowledge of manufacturing processes plays a key role in the reuse and sharing of knowledge in areas such as product design and process planning. One common approach for knowledge representation is ontologies. Ontologies are formal models that use mathematical logic to disambiguate and define classes of things. The reasons behind this are twofold. First, ontologies have the ability to be integrated with automated reasoning applications. Second, ontologies are also useful for enabling knowledge sharing between different knowledge-based applications. However, in the absence of systematic methods for their design, most ontologies are developed in an ad-hoc manner. This paper presents a methodology for developing manufacturing process ontologies, which combines formal concept analysis with a set of criteria for characterizing classes of processes. The application of the proposed methodology is illustrated with a case study on the development of an ontology for machining processes.
著者
Shinji INOUE Shigeru YAMADA
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4E, pp.406-415, 2016 (Released:2016-03-05)
参考文献数
26

Considering an actual software testing phase, we have no doubt that the software reliability growth process depends on test environment factors, such as testing coverage, the number of test-runs and debugging skills, which affect the software failure occurrence or fault detection phenomenon in the testing phase. In this paper, we propose a software reliability modeling approach that considers the effects of the testing environment factors based on a program size that depends on a discrete binomial-type software reliability model which is consistent with software reliability data collection and enables us to consider the effect of the program size. Finally, we compare the accuracy of our model through a software reliability assessment of our model with the existing corresponding model by using actual data.
著者
Kento IGARASHI Tetsuo YAMADA Masato INOUE
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2E, pp.293-302, 2013 (Released:2013-11-22)
参考文献数
14

To promote a closed-loop supply chain for assembled products, disassembly systems are required to recycle End-of-Life (EOL) products. To increase the total recycling rate of products in disassembly systems, it is desirable to keep rather than destroy parts since disassembly costs are increasing. Therefore, a disassembly system design should be considered based on selecting parts for disassembly in order to minimize the recycling cost while maintaining the recycling rate. On the other hand, since the precedence relationships among disassembly tasks also change according to the parts selection, it is required to consider allocation of the tasks in designing a disassembly line. For the disassembly system design, it is also necessary to have disassembled product information such as the recycling rate and profit of each part, disassembly task times and precedence relationships among the disassembly tasks. This study proposes a disassembly system design with environment and economic parts selection, which balances the recycling rate and cost using the Recyclability Evaluation Method (REM) developed by Hitachi, Ltd. The first step is to optimize the environmental and economic parts selection with integer programming, and the second step is line balancing to reduce the number of stations. Next, a design example is shown and discussed by preparing a 3D-CAD model for a computer and a cleaner. Finally, product and line evaluations are carried out by comparing four scenarios; namely 1) all parts disassembled, 2) maximum recycling rate, 3) minimum recycling cost and 4) balance of recycling rate and cost. It is demonstrated that the recycling cost is reduced as a result of maintaining a higher recycling rate and that the number of work stations and the smoothness index are also improved through use of environmental and economic parts selection.
著者
小黒 芳男 大久保 堯夫
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.141-146, 1986
被引用文献数
1

人力による片手持ち型運搬作業における取り扱う運搬物の至適重量, 作業後の回復時間などの作業条件を検討するための基礎的資料を得る目的で, 青年男子10人を被験者として, 取り扱う運搬物の重量の違う7通りの片手持ち型運搬作業を行わせ, 作業時の心拍数, 体温, 血圧, 疲労感調査などを測定し, 取り扱う運搬物の重量の違いと作業負担との関係を明らかにした.その結果, 心拍数, 最高血圧値およびおよび疲労感調査は取り扱う運搬物の重量とは密な相関関係があり, それぞれ回帰方程式が得られた.また, これらの指標を基にして, 総合的な判断を行うと, 取り扱う運搬物の重量については, 被験者の体重に対する30〜35%程度以下までは許容できるものと考えられる.そして, 作業後の回復時間については, 重量の5%増ごとに作業の実働時間に対して23%程度増の休憩時間が必要であることがわかった.
著者
早川 知道 伊美 裕麻 伊藤 孝行
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.317-326, 2016

日本のOpenStreetMap(OSM) は活発な活動により多くの成果物が作成されているが, 持続可能なコミュニティとなり多くの社会活動に成果物を活用するためには, 様々な課題がある. 本稿では, 日本のOSMの現状分析を行い, 今後の課題を明確にし, 日本のコミュニティに問題提起するための検証をした. 最初に, 成果物数と貢献者数について日本とOSM先進地域で比較調査分析し, 日本のOSMの現状と課題を明確にした. 次に, OSMの品質の要素である, 成果物の粒度について調査した. 調査の結果, 貢献者をいかに定着させるか, さらには, 新たな貢献者をいかに増やすのか, が日本のOSMコミュニティの課題となった.
著者
熊坂 治 鈴木 定省
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.219-226, 2014 (Released:2014-11-14)
参考文献数
14

知識データを有効活用するために,対象分野の情報を体系的に集約したポータルサイトが普及している.これを効果的に機能させるためには,検索や参照を経由したユーザーからのアクセスを活性化することが重要である.本研究では,経営工学的情報提供を企図したポータルサイト「ものづくり革新ナビ」を事例として,サイトへのアクセス数に影響する要因を検証することで,集合知メカニズムを活性化するための指針を得ることを目的とする.事例調査の結果,サイト内におけるコンテンツ数の増加や,Facebook,メールマガジンによる情報発信がサイトへのアクセス数増加に結びついていることが検証された.またいずれの方策においても,コンテンツ内容が訪問者に有用であることの重要性が示唆されている.
著者
天明 翔太 伊東 哲史 早坂 弘達 松本 俊之
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.98-109, 2014 (Released:2014-08-15)
参考文献数
18

深刻化する環境問題に直面している人類にとって,持続可能な社会を構築することは不可欠である.そのためには環境教育が重要であり,近年は学校などの教育機関でゲーム形式の教材が注目を集めている.しかし,既存の環境教育ゲームは教育者が教えたい環境教育内容を含んでいるとは限らない.そこで本研究では,教育者が教えたい環境教育内容を含んだゲームを容易に作成できるように,環境教育ゲームの作成支援システムを開発した.具体的には,スゴロクゲームを対象として,環境教育ゲームの作成手順を考案し,その手順の中で利用する環境教育内容としての環境情報をまとめた環境知識データベースを作成し,ゲームの骨組みとなる基本構造を設計した.これらを組み合わせて環境教育ゲームの作成支援システムを開発した.さらに,これらを用いて環境教育ゲームを作成および実施した.
著者
友廣 亮介 有薗 育生 竹本 康彦
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.519-529, 2014 (Released:2014-03-05)
参考文献数
15

従来,ロット品質はロット中の不適合品数や不適合品率といった計数特性に基づき評価されてきた.一方,不適合品率などの従来の計数特性に基づく品質評価基準に代わる新しい品質評価基準として,計量特性に基づく“品質損失”の概念がTaguchiにより提案された.これを受けて,Arizono et al.は品質損失に関する品質保証の観点にたった新しい計量規準型一回抜取検査を提案している.ところで,検査に要するサンプル数に関して,一回抜取検査でのサンプル・サイズからの削減を目的として,一回抜取検査に代わる繰返グループ抜取検査が考案され,近年でも盛んに研究成果が報告されている.この点に鑑み,本研究では,Arizono et al.による品質損失に関する品質を保証する新しい計量抜取検査の実用性の拡張を考慮して,品質損失に基づく計量規準型繰返グループ抜取検査の設計問題について考察する.