著者
加来 浩
出版者
弘前大学
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.19-26, 2004-10

第一次世界大戦後にハブスブルク帝国から独立したチェコスロヴァキアでは,全人口の約1/4,300万人以上のドイツ人(いわゆるズデーテン・ドイツ人)がそれまでの支配民族の地位から転落して最大の少数民族集団となった。チェコスロヴァキアは連合国と結んだ条約に基づき, ドイツ人を初めとする少数民族の権利の保護規定を憲法に盛り込んだが,憲法と同時に制定された言語法ではチェコ語(チェコスロヴァキア語)のみを「国家語」(公用語)と認定するなどチェコ語に非常に有利なものであり,少数民族の立場から見ると,むしろハブスブルク帝国時代より「後退」でさえあった。このことはズデーテン・ドイツ人の大きな不満の種となった。
著者
森 文秋 丹治 邦和 若林 孝一 三木 康生
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ストレス顆粒は、ストレス状況下で、RNAとRNA結合タンパク質によって細胞質に形成される。神経変性疾患においてRNAからタンパク質への翻訳過程を制御することで、異常たんぱくの産生ならびにタンパク質の異常凝集を防ぐとされる。本研究では、多系統萎縮症患者ならびに正常対照の剖検脳組織、αシヌクレイノパチーの細胞モデル、さらに、シヌクレイントランスジエニックマウスを用いて、ストレス顆粒ならびに細胞内分解系に関連するタンパク質の動態を検討した。多系統萎縮症のαシヌクレイン封入体の形成過程、神経細胞死との関連を明らかにすることで、多系統萎縮症の予防治療戦略の可能性を示した。
著者
堀内 一穂 柴田 康行 米田 穣 大山 幹成 松崎 浩之 箕浦 幸治
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

年縞堆積物中のベリリウム10を分析し, 同一の堆積物から得られた既存の炭素14記録や, 本研究にて新たに分析されたアイスコアのベリリウム10記録と比較することで, 最終退氷期の太陽活動変動曲線を抽出することに成功した.その結果, 太陽活動は退氷期の古気候変動を支配するものではないが, 気候変動イベントのトリガーには成り得ることが分かった.また, 古木から単年分解能で効率的に炭素14 を分析する手法や, 年縞堆積物から単年分解能でベリリウム10を分析する手法が確立された
著者
野坂 大喜
出版者
弘前大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 探索タイプ
巻号頁・発行日
2011 (Released:2016-04-26)

肉眼的発見が困難な微少転移乳がん症例(0.2~1mmの微小乳がん転移細胞)を対象として、蛍光検出系を用いた高精度な検出・解析用画像処理技術を研究し、有機EL液晶波長可変フィルター搭載型蛍光顕微鏡の臨床応用による乳がん転移判定迅速病理診断技術の技術移転可能性を研究開発した結果、転移乳がん細胞を精度90%以上で検出し、特異度においても分子生物学的手法と比較した結果90%以上を実現した。本システムは新たな術中迅速診断支援システムとして実用化が期待でき、他の臓器からのリンパ節転移検出やマルチマーカーでの陽性細胞検出手法として応用化が期待できる。
著者
下宮 忠雄
出版者
弘前大学
雑誌
文経論叢. 文学篇 (ISSN:03854191)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.29-52, 1968
著者
山田 嚴子
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

第二次世界大戦下のオシラサマ信仰と民間巫者の活動を、戦前の影響と戦後の動向を考慮に入れながら調査した。その結果、以下のことが明らかとなった。(1)津軽地方では、明治以降、オシラサマは寺社信仰との関わりで信仰されてきた。(2)戦時中に民間巫者は「英霊」の口寄せを行っており、このような巫者たちは、1970年代に、新たな形で注目を受けていた。
著者
鈴木 和雄
出版者
弘前大学
雑誌
人文社会論叢. 社会科学篇 (ISSN:13450255)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.127-147, 2001
著者
中屋敷 宏
出版者
弘前大学
雑誌
文経論叢. 人文学科篇 (ISSN:03854191)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.141-186, 1994
著者
安野 眞幸
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

ザビエル以来の日本イエズス会士たちは、「日本人は理性的で、キリスト教の正しさを理性に基づいて理解することのできる特別な国民だ」との認識を持っていた。このことはイスラム教やユダヤ教の影響下にない当時の日本が、キリスト教の創造神の観念を受け入れる可能性があったことを意味している。その理由として、先学の海老沢有道氏は当時の日本に存在した「天道」の観念を挙げたが、この他に白本の大乗仏教とキリスト教が「天国・地獄・霊魂不滅」等の観念を共有していた事実を挙げることが出来る。しかし日本人は理性的だとは、スコラ哲学に基づく自然現象の説明による神の存在証明を当時の日本人たちが興味を持って受け入れたことを意味している。当時の日本側には天台本覚思想に基づき「国土草木悉皆成仏」が主張され、森羅万象に仏性が備わっているとの汎神論的な世界観が存在していた。これを基盤として、創造主宰神の観念は魅力的なものとして受け入れられた。特にイエズス会士たちの持っていた新プラトン主義に基づく流出論的な自然観は天台本覚思想の自然観や汎神論に近いものであった。来世信仰を否定し、現世主義的な近世思想をはぐくむ中心的な世界が政治権力者のブレーン集団である「おとぎ衆」にあり、政治支配の現実に立脚するという立場から全ての思想は相対化され、創造主宰神の観念は否定されたのである。
著者
木村 純二 岡田 安芸子 吉田 真樹 朴 倍暎 岡田 安芸子 吉田 真樹
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、西洋の哲学が理性主義的な人間観を基調としているのに対して、日本では伝統的に人間を感情的存在として捉えていることを鑑み、日本人の情念の理解について、仏教や儒教・神道・文芸作品等の思想潮流の全体に渡って総合的に考察しようと試みたものである。その際、『源氏物語』を一つの焦点とすることで、体系的連関のある研究にまとめることに心掛けている。本研究の最も主要な成果は、学術雑誌『季刊日本思想史』第80号に6本の論文として掲載される。
著者
田中 岩男
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究により以下の諸点が明らかにされた。(1) 歴史と神話を同時にはらむ『ファウスト』の特有の「歴史性」(2) 時間的にかけ離れた事象を重ね合わせ、類型化・典型化して考える方法論的原理 (3)『ファウスト』全体をつうじゲーテの思考における本質的なパラメーターとしての〈自然〉(4)〈人工〉による〈自然〉の支配に顕著に表れた近代の暴力的な性格 (5) 近代に対するゲーテのアンビヴァレントな立場、等。
著者
内藤 周子
出版者
弘前大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は、六次産業化における事業の評価指標を開発し、財務面での自立を促進する評価指標の応用可能性を探ることである。生産物の高付加価値化をはかる第一次産業従事者(主に農業従事者)に関する資料調査と聞取調査を行うことで、つぎの二点を明らかにした。第一に、会計情報をさらに活用する余地が残されていることである。第二に、自然栽培は結果として高付加価値化をはかる栽培方法となりうることである。さらに、事業化に関する発展的な研究を行うための調査対象を合理的に選出する予備的な調査も行った。