著者
鈴木 正信
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.303-308, 2010-05-28 (Released:2011-06-25)
参考文献数
4

「四国学」とは,e-Knowledgeコンソーシアム四国が中心となって推進している地域学の取組である.その目的は,コンソーシアムに加盟している四国の国公私立8大学の教育・研究資源を学問体系化した上で,四国の特徴をさまざまな観点から取り上げることにより,四国の魅力の新発見・再発見を促し,さらには四国の未来を構築していくことにある.また,この「四国学」を各大学がeラーニングによって共有するところに,他の地域学には見られない大きな特徴がある.本稿では,コンソーシアムが発足した2008年度から,eラーニングによる単位互換科目の開講が実現した2010年度に至る3年間の事業実施状況について,主に香川大学の活動の紹介と,単位互換科目を履修した学生に対して行ったアンケートの集計結果の分析を行い,あわせて今後の大学における地域学のあり方を展望する.
著者
村川 猛彦 遠藤 淳一 松尾 和展 中川 優
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.126-131, 2012-05-20 (Released:2012-07-31)
参考文献数
8

データの格納および管理の手段として,RDBに代わり,高速に大量のデータを処理でき,分散化の容易なNoSQLデータベースが用いられてきている.しかしデータ構造や操作言語の違いから,システム移行は容易ではない.そこで本研究では,SQL文を入力にとり,等価なNoSQLの問い合わせ文を出力する変換プログラムを作成した.対応するNoSQLはMongoDBとHBaseとし,実装においてSQL文の解析および言語間のコード断片の対応付けを行った.評価実験の結果,32例のSQL文のうち,13例でMongoDB,9例でHBaseの問い合わせ文を生成できた.
著者
安平 哲太郎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.130-135, 2016-05-14 (Released:2016-07-15)
参考文献数
6
被引用文献数
1

筆者は昨年の情報知識学会で、神から求められている正義の流れとそれに対応する現実の流れを、聖書を参考に見いだせる事を明らかにした。この正義の流れは、人類が有史以来背負ってきた負債が、イエスの身代わりによって帳消しになった事を前提にしている。そこでこの事が事実である事を、どのように検証できるかを試みた。人類の歴史が神の意図Aに基づいていると仮定して、時点Bに神の意図Aに基づいて事実Cが起きた時、時点Bまでの流れに対して事実C がどのような影響を与えるかを考え、それに相当する歴史的事実が存在する事を明らかにした。また、その時点で、神の意図にイエスの身代わりで人類の負債を帳消しにする必要があり、人聞社会においてもイエスを十字架に架ける動機が存在しており、この事によって、神の意図が実現できる可能性があった事を明らかにした。
著者
川村 隆浩 古崎 晃司 櫛田 達矢 渡邊 勝太郎 松邑 勝治
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.102-109, 2016-05-14 (Released:2016-07-15)
参考文献数
18

近年,科学計量学等での活用を目的にさまざまな科学技術用語シソーラスの構築が進められている.しかし,人手での整備には多大なコストと時間を必要とするため,自動,半自動的な構築・改訂手法の研究が盛んに行われている.そこで本論では,人手で十分に整備された情報がない新興・先端学術分野においても適用できるよう,文献抄録に書かれた自然文を入力としたシソーラス拡充手法を提案する.具体的には,近年,進展が目覚ましい単語の分散表現を活用し,新語を既存シソーラス階層内に適切に位置づける手法を検討する.実験では,医療系論文56.7万編から500次元の単語ベクトルを構築した上で,主成分分析による次元削減とクラスタリングを行った上で,既存シソーラス用語と新語との空間的な位置関係から意味的な関係性を推定した.そして,専門の作業者3名による結果と比較し,3-Bestで再現率80%以上であることを確認した.今後は,作業者への新語追加位置推薦システムを構築することでシソーラス拡充手法の半自動化を図っていきたい.
著者
佐藤 翔 井手 蘭子 太田 早紀 林 直樹 道浦 香奈 副田 沙織
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.195-200, 2016
被引用文献数
1

本研究では同志社大学の学生102名を対象に2015年に実施した質問紙調査の結果に基づき,日本の大学生のWikipediaに対する信憑性認知や,学習におけるWikipediaの利用実態を明らかにするとともに,どのような要因が信憑性認知や学習における利用に影響を与えるかを検証する.分析の結果,回答者はWikipediaをどちらかと言えば信憑性のあるものと考えており,レポート作成等にも用いているが,参考文献には挙げない傾向があること等がわかった.
著者
徳守 淳也 小野 智司 木場 隆司 北山 信一 中山 茂
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.41-50, 2007 (Released:2007-03-06)
参考文献数
27
被引用文献数
2

学術情報の円滑な流通を図るため,国立情報学研究所(NII )の主導のもと,大学などの研究機関において学術リポジトリの構築が進められている.しかし,学術情報のメタデータ作成は労力がかかるため,より簡便にメタデータを作成できるツールやサービスの開発が望まれている.本研究では,学術機関リポジトリの構築支援を目的として,理工系の研究者の間で研究者に広く用いられているBIBTEX 形式のメタデータを,NII メタデータ記述要素に準拠するメタデータに変換するシステムを開発する.提案するシステムを利用することで,メタデータ記述の労力を5 分の1 程度に抑えることができる.また,コンパイラ・コンパイラを利用することで,開発の労力を抑えることができた.
著者
大槻 明
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.429-441, 2013-12-07 (Released:2014-02-07)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

データには無限の可能性が秘められていると我々は考えている.そして,データを効果的に分析することにより,新たな知識発見や,学問や社会の発展に対し他大な貢献が期待できると考えられる.データ量が増えればそれだけこの期待度は高まっていく.さらに,現状はSNS(Social Network Service)データやセンサーデータなどを代表に膨大なデータがリアルタイムに生成されているため,これらのデータを効率的に取得あるいは分析する技術がトレンドとなっている.ゆえに,本稿では,先ずビッグデータの概要について述べ,次にビッグデータに関する代表的な技術について概観した後で,我々の研究事例を通してビッグデータ俯瞰分析の技術や手法の一例について述べる.
著者
原田 隆史 青山 周平 西山 麻里 竹内 花織 徳永 優衣
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.152-159, 2015-05-23 (Released:2015-07-11)
参考文献数
14

小説を読む場合には,しばしば裏表紙などに書かれた紹介文を参考として図書を選択することが行われる。しかし実際には,紹介文を読んだ時に期待したものとは異なる感想を持つ結果となることも少なくない。このような齟齬の原因としては,小説に対する感想の個人差がある場合のほか,読書前後で図書に対して注目する観点が異なることも考えられる。本研究では,読書前にこのような感想を持つだろうと予想して作成された文章と,読書後に実際に作成された文章(感想文)との比較を行い,読書前後で観点が変化するかどうかを調査した。10冊の小説を対象として読書前後に作成された文章の中に出現する語の品詞や意味の種類の分析を行ったところ,出現する語の品詞や意味の種類は読書前後で共通であり,読書前後での観点そのものには大きな違いはないことが明らかとなった。
著者
林 賢紀 阪口 哲男
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.238-252, 2012-10-10
参考文献数
10
被引用文献数
1

文献データベースと電子ジャーナルをリンクするシステムとして,リンクリゾルバが利用されている.本論文では,文献データベース,電子ジャーナル,リンクリゾルバそれぞれのアクセスログを解析することにより,リンクリゾルバの影響の分析を試みた.この結果,データベースの検索結果からリンクリゾルバを経由して幅広い分野の雑誌タイトルに利用者を誘導できる効果が確認できた.このとき,リンクリゾルバは,PNAS やScience,Nature などの総合科学雑誌と比較して分野に特化した雑誌へ多くの利用者を誘導している.特に,Web of Science のような収録範囲の広いデータベースの利用においてこの効果は顕著であり, リンクリゾルバの導入は特定分野の雑誌論文の可視性を高め,利用に結びつける効果があることを明らかにした.
著者
宮本 行庸 児玉 真悟 ヴィアネイ ブナバンディ 松永 龍児
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.194-199, 2015-05-23 (Released:2015-07-11)
参考文献数
4

本稿では,開発途上国における災害をモバイル機器によって通知するシステムについて述べる.多くの途上国では,ライフラインが整っていない場合でも,携帯電話のみは使用できるという状況が存在する.この情報ネットワークを用いて登録会員にショートメッセージを送信し,洪水等の事前に検知が可能な災害を通知するシステムを開発した.途上国の限られたインフラや資源の中で市民を救済するための仕組みとして,実用化を目指す.
著者
高久 雅生 江草 由佳 寺井 仁 齋藤 ひとみ 三輪 眞木子 神門 典子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.224-235, 2009-05-16
被引用文献数
4 4

Web情報探索行動中のサーチエンジン検索結果一覧ページ(以下,SERPと呼ぶ)に対する行動に着目し,ユーザ実験の方法論により,視線データ,ブラウザログ,事後インタビュー等の情報を包括的に用いて,ユーザ属性,タスク属性,クエリ属性の3つの要因と,眼球運動による視線データとの関連を探った.分析の結果,SERPにおける行動の説明変数としては,他の要因に比べてInformation/Navigationalクエリの違いによる効果が最も大きく,SERPへの遷移の直接的な原因となるクエリ種別により,ユーザの行動を予測しうる可能性が示唆された.
著者
西森 友省 堀 幸雄 今井 慈郎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.185-190, 2010-05-28 (Released:2011-06-25)

我々は大学における開講科目から,学生のニーズに合った時間割の自動作成システムを作成している.本研究は,学生の科目履修履歴を元に,その学生の得意,不得意分野を推定し,難易度別時間割の自動作成を行なう手法を提案する.本機能により,学生は自分の得意分野を伸ばす,不得意な分野に挑戦するという点を調整して時間割を自動作成することができる.実験の結果,履修履歴情報が科目の合格に有効であることがわかった.その結果について報告する.
著者
鈴木 智典 宮崎 智
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.92-97, 2009-05-16 (Released:2009-06-27)

我々は,現在インターネット上で公開されている生物学的データベースのURLや公開形式,検索ページのCGIパラメータなどを網羅的に集めたデータベースのデータベース(バイオメタデータベース)を構築し,データ検索から初め,遠隔操作によって複数のサイトの解析ツールを組み合わせて研究に応じた解析ワークベンチの動的な構築を試みている.メタデータベースの概要とワークベンチの事例について報告する
著者
岡田 大輔
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.139-146, 2014-05-24 (Released:2014-12-01)
参考文献数
6

近年,海外を含め,壁全面に広がる大型のホワイトボード(以下WBW) が多くの大学図書館・ラーニングコモンズに設置されている.WBWは「テーマ決め,発想支援のため複数人でイメージマップを作成する」などいくつかの使用方法が考えられる.しかし,WBWの有効性は明らかではない.今回はWBW の有効性を明らかにする前段階として,WBWの設置箇所・設置者の意図・使用事例を調査し,WBWの使用方法の類型化を試みた.
著者
堀 智彰 木下 奏 小林 映里奈 村尾 真由子 渡邉 朋子 兼松 泰文 辻 慶太 宇陀 則彦
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.189-196, 2014-05-24 (Released:2014-12-01)
参考文献数
4
被引用文献数
2

「知の探検法」は文献の調べ方を中心とした情報リテラシーの授業である。平成24年度から文献探索に対する理解・目的意識の向上を目的として「文献探索ゲーム」を実施している。文献探索ゲームはゲーム形式で文献探索を行うことで文献探索に目的意識を持たせ、基本手順について学ぶことを目的としている。本稿では平成25年度に実施した文献探索ゲームの評価実験について報告する。評価実験では学生の文献探索に関する知識構造の変化を計るため、コンセプトマップを用いた。分析の結果、文献探索ゲームの前後で学生の知識構造が変化しており、文献探索に対する理解が深まっていることが明らかになった。
著者
長塚 隆 山川 茜
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.57-64, 2012-05-20 (Released:2012-07-31)
参考文献数
9

学生は授業中に教科書を読むときに,通常「アクティブリーディング」と呼ばれる能動的な姿勢を示す.著者は以前の研究で,電子テキスト上に学生が挿入したコメント数と該当科目の最終成績との関連が高いことを明らかにした.今回、電子テキストへのノートテイキングを経験した学生について,紙でのノートテイキングとパソコンでのノートテイキング時の行動にどのような相違があるか調査した.
著者
村井 源 川島 隆徳 工藤 彰
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.23-43, 2012-03-26 (Released:2012-06-29)
参考文献数
16
被引用文献数
1

評判分析などが自然言語処理技術によって進められているが,対象は主にWeb上のテキストであり,人文学的な批評文はその主たる対象となっていない.本研究では人文的な批評文の具体的批評対象を計量化することで,批評行為のより深い意味分析に向けての基礎固めを行う.総合的芸術作品である映画と演劇の批評文を対象として,抽出対象を人名と作品名に絞り分析を行った.結果として頻度分析とネットワーク分析で批評における人物の重要性やグループの傾向,他分野との関わりの相違が明らかとなった.またスタッフのデータベースの利用により,語られる固有名詞の批評文中での意味と機能の傾向が抽出された.
著者
五島 敏芳
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.35-43, 2004

アーカイブズ(記録史料)の電子的検索手段(目録,索引等)のデファクト国際規格EAD,Encoded Archiva Description(符号化記録史料記述)およびEAC,Encoded Archival Context(符号化記録史料脈絡)が,日本の記録史料に対して適用実験されるまでの道程を概観し,XMLの利用から考えられる可能性を展望する.EADやEACに沿って構築された記録史料の情報は,XMLの諸技術の利用から,たんなる検索手段ではなく再利用可能な電子的記録史料記述という基本情報源として位置づけられるはずである.