著者
広谷 鏡子
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.42-60, 2020 (Released:2021-04-16)

「オーラル・ヒストリー」の方法論を用いて、数多くの関係者の証言をもとに「テレビ美術」についての論考を発表してきたが、今回は1970〜80年代にかけて一世を風靡したTBS系列のバラエティー『8時だヨ!全員集合』の美術に着目する。当時絶大な人気のあったザ・ドリフターズによるコントがメインを占めたこの番組において、リアルかつ大掛かりなセットや独創的な小道具など、「美術」は大きな役割を果たしていた。 本稿では、コントセットのデザインをほぼ一人で担当した山田満郎デザイナーをはじめ、当時の美術スタッフ、演出スタッフの証言から、番組制作過程における新たな事実の解明とともに、多くの人々が関わった現場の空気感、息遣いを伝える。番組制作の1週間を時系列に沿って追うなかで、コントのネタ作りに貢献した美術スタッフの絶妙なサポート、コントを最大級に面白くするために、本番間近まで入る修正に対応したスタッフの尽力、生放送当日、舞台上でワンチームとなって奮戦した全スタッフの熱情が、証言から明らかになっていく。ドリフのメンバーは5人だったが、6人目のドリフは、番組の主役ともなった「美術」であり、関わる全てのスタッフだった。テレビの黄金期、体を張った人々の「熱情」の記録が、100年を迎えようとする放送の未来を切り拓く手がかりとなることを願う。

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (3 users, 3 posts, 3 favorites)

@mameoyaji_ex 光子館さんは「全員集合」にも関わられていましたね。長さんの無理難題とも言えるオーダーや、生放送直前の変更にも対応されて、大変だったそうです。 https://t.co/pt78qG2Ooh
で、「似顔人形作ったのは誰だったんだろう?」などと見ていたら、相当数のスタッフが全員集合と共通で、その探求過程でこんなレポートを見つけました。 https://t.co/IIly2usMcX 光子館という会社を全然知らなかった……。山田満郎さん(TBSのセットデザイナー)の回顧展には、行ったなぁ~(;^ω^)

Wikipedia (1 pages, 1 posts, 1 contributors)

編集者: Tjnkbo
2023-02-25 11:30:09 の編集で削除されたか、リンク先が変更された可能性があります。

収集済み URL リスト