著者
大熊 智子 増市 博 吉岡 健
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.27-52, 2006-01-10 (Released:2011-03-01)
参考文献数
19

本稿では, 意味判定ルールを段階的に適用することにより, 副助詞「まで」, 「など」, 「だけ」が生来的に持つ曖昧性を自動的に判別する手法を提案し, その有効性を検証した.本手法では, まず着目する副助詞の前後の形態素を参照する形態素ルールを優先度に応じて適用し, 意味を決定する.次に, 形態素ルールだけではうまく判別できない構文に対して日本語LFGシステムによる構文意味解析を行い, LFGの出力結果であるf-structureの意味機能を参照する意味機能ルールを適用して多義性の解消を行う.EDRコーパスを用いた実験では, 殆どの形態素ルールで高精度の多義性解消が可能であることを実証することができた.さらに, この実験で判別精度が低かった5種類の構文 (「まで」2種, 「など」2種, 「だけ」1種) に対して, 意味機能ルールを用いて多義性の解消を行うことで, 形態素ルールよりも, 高い精度の多義性解消を確認できた.「まで」の多義性解消では, 69.6%から73.2%と58.4%から61.8%への向上, 「など」の多義性解消では29.6%から72.5%と47.2%から60.3%への向上, 「だけ」の多義性解消では55.8%から76.1%への向上を確認することができた.

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