著者
高野 祐輝 井上 朋哉 知念 賢一 篠田 陽一
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.4_58-4_76, 2010-10-26 (Released:2010-12-26)

分散ハッシュテーブル(DHT)はPeer-to-Peer(P2P)ネットワークを構築する手法の1つであり,スケーラビリティの高いKey-Value型の検索を可能とする.しかしながら,既存のDHTアルゴリズムはNATの問題を考慮しておらず,現実世界で用いるには不十分である.NAT問題は非常に深刻であり,P2Pネットワークアプリケーションを設計・実装する際に最も考慮しなければならない点の1つであるが,既存DHTアルゴリズム・実装のほとんどは,NAT問題について十分に考慮しているとは言い難い.そこで我々は,NATが介在する環境においても安定して利用することの出来るDHTの設計と,実証ライブラリであるlibcageの実装を行った.本論文では,その設計と実装について述べ,評価を行う.なお,libcageのソースコードはインターネット上にBSDライセンスで公開しているため,誰でも自由に利用・改変が可能である.

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