著者
菊地 恵太
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.101-117, 2018-04-01 (Released:2018-10-01)
参考文献数
10

本稿では「棗」「攝」等の略字体「枣」「摂」に見られる畳用符号(同一構成要素を繰返す符号)「〻」及びそれを横に並べた「〓」に着目し、その使用状況の変遷を明らかにする。日本では当初、畳用符号による省画は中国由来の「〓・〓」(䜛・〓)に限られていたが、同一構成要素3つ乃至4つの字体を「〓」符号で省略する手法が室町中期頃より見え始め、室町後期以降同様の省略法を用いる字種が広く見られるようになる。さらに同一構成要素2つの字種の場合でも、「〻」を用いて省画する手法が「䜛」「〓」以外の「棗」「皺」等といった字種にも見られるようになった。こうした一連の過程から、略字体の生成過程・使用の変遷において「分析的傾向」と呼べる側面が存在することを示した。

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