著者
沖 大樹 山本 祥輝 奥村 宏征
出版者
三重県科学技術振興センター水産研究部
巻号頁・発行日
no.11, pp.15-21, 2004 (Released:2011-03-05)

平成13年6月から平成14年2月にかけて熊野灘北部沿岸で増加傾向にあるガンガゼについて生物学的知見を収集するとともに試食による評価を行い、食材としての可能性を検討した。また、鹿児島県におけるガンガゼ流通の現状を把握し、三重県における本種の利用の可能性ついても考察を試みた。1.贄浦地先に生息する個体群と宿浦地区の個体群の平均殻長はそれぞれ46.3mm、54.3mmで、贄浦産が平均殻長で8mm大きかった。2.生殖腺熟度指数の月変化より産卵期は、両地区とも7-8月に盛期を迎えると推察された。3.食材として利用可能と判断された7g以上の生殖腺を持つ個体の月別の殻長サイズ別出現率から、殻長が50mm以上の個体は両地区とも利用可能と考えられ、同殻長サイズにおける利用可能な期間は宿浦に比べ贄浦が長かった。4.試食の結果、熊野灘北部沿岸に生息するガンガゼは食用ウニ類に比べ生殖腺の色彩、味覚は劣るが、食材としての可能性はあると評価された。5.鹿児島市内でガンガゼが流通するウニ類の35%と多くを占めた要因として、他の県内産食用ウニ類の水揚量が少ないことに加え、我が国におけるウニ類の主要産地と距離的に隔たりがあったことが考えられた。以上の結果より、三重県熊野灘北部沿岸に生息するガンガゼについては地域差があるものの食材として利用の可能性があると考えられた。また、三重県におけるウニ類の流通事情は鹿児島県とほぼ同様であると考えられることから、県内においてもガンガゼを市場流通させる可能性はあると推察された。

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