著者
安田 聖栄 幕内 博康
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.598-603, 2002-08-30
被引用文献数
1

転移癌の診断で画像診断は必須である。18F-fluorodeoxyglucose (FDG) を用いるpositron emission tomography (PET) により, 糖代謝の高い癌はFDGの高集積として検出できる。転移性肺癌では肺野病巣のみでなく胸壁, 肺門・縦隔リンパ節, 骨転移も同時に検出できるのが利点である。大腸癌, 膵癌の肝転移は1cm以上あれば高率に診断できる。乳癌骨転移の診断で従来の骨スキャンより優れる。また腹膜転移を検出できるため大腸癌, 卵巣癌の腹膜転移検出で役立つ。原発不明癌にも適用される。ただし腫瘍の組織型により糖代謝の程度が異なることに注意する。またミリ単位の癌で偽陰性になり得るという画像診断としての検出限界を念頭に置く。PET装置の性能が進歩すればさらに小さな病巣が検出可能になると期待できる。

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