著者
伊藤 邦彦 豊田 恵美子
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.81, no.12, pp.721-730, 2006-12-15
参考文献数
27
被引用文献数
4

欧米における結核患者の入退院基準を明らかにし,本邦の基準と比較考察を行った。アメリカ(USA)/ニューヨーク/カナダ/EU/イギリス(UK)/ドイツ/フランス/スペイン/イタリアの9地域を対象に,インターネット/PubMed等で入退院基準を述べた公的文書を抽出し,化学療法後の感染性推移に関する見解/入退院基準/隔離解除基準を調査した。欧米においては,化学療法開始後に感染性が消失する時期については不明であるとする見解を採る場合が多い。短期隔離やadherence確保のための入院適応も存在している場合が多く,隔離解除基準や退院基準では,患者の感染性そのものよりは,患者のもつ可能性のある接触の総合的リスク(接触者の結核の発病しやすさや,多剤耐性結核/播種性結核/結核性髄膜炎等の重篤な結核発症のリスク)を勘案して決定されているものと考えられた。欧米では外来治療に固執するのではなく柔軟な対応が可能である。米国においても初期入院治療の頻度は高く,場合によって長期の入院治療も行われている。本邦の基準は感染性に過度に偏重しているものと思われた。

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