著者
渡辺 幸三 大村 達夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:18806082)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.94-104, 2006-04-20

ダム湖は河川水生昆虫の幼虫と成虫の移動を阻害し,ダム上下流間の遺伝的分化やそれに伴う遺伝的多様性の低下を引き起こす恐れがある.本研究は湛水面積が異なる複数のダム湖周辺でヒゲナガカワトビケラ,ウルマーシマトビケラ,クロマダラカゲロウの3種の水生昆虫地域集団のRAPD解析を行った.解析の結果,ヒゲナガカワトビケラの遺伝的分化は6つのダム湖のうち湛水面積が 3.27 km<sup>2</sup> 以上の2つの大きなダム湖で遺伝的に分化していたが,ウルマーシマトビケラは湛水面積が小さい場合でも分化することがあった.また,ウルマーシマトビケラの遺伝的多様性の低下要因として,集団サイズの低下とダムによる生息地分断化の2因子が働くが,残り2種は集団サイズの低下のみが主に働いていることが明らかになった.

言及状況

外部データベース (DOI)

Wikipedia (1 pages, 1 posts, 1 contributors)

収集済み URL リスト