- 著者
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鈴木 信孝
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬理学会
- 雑誌
- 日本薬理学雑誌 (ISSN:13478397)
- 巻号頁・発行日
- vol.131, no.4, pp.252-257, 2008-04-01
- 被引用文献数
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欧米の先進諸国において,補完代替医療(CAM)の利用頻度は近年急速な増加傾向にある.また,わが国でも,患者自身の治療選択における自己決定意識の高まりに加え,インターネットの普及などから,実際の医療現場でもCAMの利用者が急速に増加していることが指摘されている.このような背景のもとに,2001年に厚生労働省がん研究助成金による研究班が組織され,わが国におけるがんの補完代替医療の利用実態調査が全国規模で行われた.そして,がん患者の44.6%(1382/3100名)が,1種類以上の代替療法を利用していることが明らかになった.さらに,利用されているCAMの種類としては,健康食品・サプリメント(漢方・ビタミンを含む)が96.2%と群を抜いて多いことや,使用頻度の高いものとしてアガリクス(60.6%),プロポリス(28.8%),AHCC(7.4%),漢方薬:OTC(7.1%)などがあることもわかった.また,半分以上の患者が,十分な情報を得ずにCAMを利用していることや,患者と医師の間にCAMの利用に関して十分なコミュニケーションがとれていないことも判明した.たしかに,サプリメントが薬理学的に高い効果を示すかどうかは懐疑的である.しかし,患者側の立場としては,たとえわずかであっても効果が認められるものがあれば取り入れたいと思うのは当然であろう.今後,氾濫するサプリメントの情報の中で,科学的に的確なものを見極め,総合的な医療としてサプリメントなども利用した健康管理も必要となろう.本稿では,まずCAMを概説し,わが国における食品の分類,サプリメントの安全性や米国で進む植物性医薬品(Botanical Drug)の研究・開発についても解説する.<br>