著者
工藤 デヴィッド
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.104, no.7, pp.524-530, 2009-07-15
被引用文献数
1

1970年代より、ロサンゼルスやニューヨークなど、日本人・日系人が多く集まる都市を中心に到来した「寿司ブーム」は、カリフォルニア・ロールなど日本食でありながら日本人としては少々違和感を覚える「スシ」や「ロール(マキモノ)」を生み出し、今や「ブーム」から一般アメリカ人の食生活に溶け込んでいく様子すら見受けられる。生魚を食べる習慣がなかったアメリカ人に、海苔などを始めとする未知の日本食材への抵抗を減らすために裏巻きにし、アボカドやカニカマなど本来寿司には用いられなかった食材を用い、わかりやすいマヨネーズやホットソースのはっきりした味で和えることによって、ロール寿司は進化していった。「寿司ブーム」はその後、本格的江戸前すしに的が当たり、流行に敏感な大都市のメディアや富裕層に支持され、「マキモノ=スシ初心者、江戸前スシ=日本食通のための寿司」という構図が出来上がるが、今現在、広く全米の大衆に浸透しつつある「スシ」はロール類に他ならない。そして「寿司ブーム」はスシだけでなく、全米での日本食レストラン数の飛躍的な増加、日本酒・焼酎の到来、わさびや柚などの日本の調味料や薬味の提供など、多くの日本食文化を米国にもたらす結果となった。本稿では、日本食レストラン発展とそれに伴う日本酒の消費拡大と、今後の日本食業界と日本酒、焼酎の可能性について、北米で唯一のバイリンガルの日本食業界誌を発行する立場で、模索してみようと思う。

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こんな論文どうですか? 米国の日本食と酒事情(工藤 デヴィッド),2009 https://t.co/L4efd6pLri 1970年代より、ロサンゼルスやニューヨークなど、日本人・日系人が多く集まる都市を中心に到…
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