著者
吉田 泉
出版者
高岡法科大学
雑誌
高岡法科大学紀要 (ISSN:09159347)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.43-63, 2001

本稿の要旨は,ミュッセ(Alfred de Musset (1810-1857))を,様々なダンディズム論から見つめ直し,また特に彼の代表作でもあり,フランス・ロマン派の演劇の最高傑作とも言われる,『ロレンザッチオ』(Lorenzaccio (1833))をダンディズム論の立場から,解釈しなおそうとすることである。初めに,一番参照した書物を挙げておくと,それはジョン・プレヴォーの『フランスにおけるダンディズム(1817年から1839年まで)』(John C. Prevost :《Le Dandysme en France (1817-1839)》)である。さて,1830年に,『スペインとイタリアの物語』(Les Contes d'Espagne et d'ltalie)を引っ提げて弱冠19歳で文壇にデビューしたミュッセのこの処女作は,発表当時から,はやくも「文学によるダンディズムの標榜」という評価を評論家たちから受けていたようである。この時期は,イギリスから「伝播した」というべきダンディズムが,フランスで大きな勢いを持ち始めていた時でもあった。とりあえず「幻想時評」(la Revue fantastique, le 14 fevrier 1831)において,ミュッセが直接「イギリスのダンディ」について論評しているのであるが,それを瞥見してみよう。彼はダンディに関してけっこう批判的な態度をとっている。

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