- 著者
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パワーズ H.ハイウォーター
- 出版者
- 大同工業大学
- 雑誌
- 大同工業大学紀要 (ISSN:02855372)
- 巻号頁・発行日
- vol.33, pp.21-31, 1997-12
1915年. T. S.エリオットは「J.アルフレッド・プルーフロックの恋歌」と題する詩を発表したが,今日この作品は,その後の英米文化及び文学の中で支配的になったように思われる精神的不安を認めかつ描いた作品としての基調音を示している。本作品では,主人公ハートは,プルーフロック同様,人間精神の基本的特徴である高尚な善意に対する信頼を必要とする決断を下すことができないようである。彼は姦通の罪を犯し,内部に偽りを秘めながら,生活し続けることもできるが,この行為を妻に告白するのが唯一の救いであると感じている。彼は大きな危機にさらされる。なぜなら,妻のグレイシアにこのことを打ち明けるのは,結婚生活並びに彼女への誠実な愛の破局を意味するからである。最終的には,ハートは一つの決心をする。この決心はおそらく人間精神の普遍的真実に基づくものであろう。この選択は彼が実際に取ることのできる唯一の選択であることが彼には明白に分かっている。