著者
河野 貴美子
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.218-229, 1998

気功と催眠の違いを検討すべく、それぞれ施術者、受け手の脳波同時測定を行なった。気功法実施中、気功師の前頭部には後頭部のα波と同期したα波の出現が見られた。即ち、後頭-前頭間におけるα波出現位相のずれ(τm)を計測すると、安静時よりずれ時間が小さくなる。この現象は気を受けた一般人にも見られた。また、気功師が特異なβ波パターンを示す時、受け手にも似たパターンが現れた。暗示による効果を極力除いた二重盲検法を導入しての実験でも、受け手のτm値は気功師同様小さくなった。両者の脳波の同調的現象から、何らかの信号が受け手に伝わっている可能性が示唆された。一方、充分にラポール(精神的意志疎通関係)のとれた相手に言語を用いず、かつ閉眼による催眠誘導を行なったところ、外見的には気功と類似の動きも見られたが、β帯域に同調的パターンは見られなかった。α波は催眠中、施術者、受け手とも前頭部にも多少現れわ、τm値は、両者ともに安静時より小さくなる傾向が見られた。しかし気功ほど顕著ではなく、暗算等課題集中時に見られる位相同期の範囲を超えないことから施術者に直接同調しての現象とは言い難かった。催眠では非言語誘導であっても、受け手は常時施術者から受けている誘導言語を自身のうちで反趨し、自ら催眠に入っているものと思われた。

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