著者
岩田 篤
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密機械 (ISSN:03743543)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.635-640, 1982-05-05

電子ビームを熱源として用いた変態焼入法の可能性の実証及び基礎的特性の解明を実験的に行う.デフォーカスしY方向に三角波形で偏向振動させた電子ビームを, X方向に定速度で移動するS45C板に照射して加熱し, 自己冷却を利用して焼入れを行う.実験の結果, S45C板に幅10mm, Hv600以上の硬化深さ0.6mmの硬化層を得ることができる.その表面粗さは焼入れを施した.ことにより粗くなる.硬化層内の平均硬度は表面溶融がわずかに認められる状態のエネルギー投入時に最大となる.定速度移動半無限体表面の静止長方形熱源による温度分布と, 900℃等温線を熱変質層境界とする仮定による電子ビーム焼入れモデルを用いた計算結果は実験値と良い一致を示す.

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