- 著者
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中村 恵美子
平沢 正
石原 邦
- 出版者
- 日本作物学会
- 雑誌
- 日本作物学会関東支部会報 (ISSN:13416359)
- 巻号頁・発行日
- no.10, pp.23-24, 1995-11-02
我が国のコムギの栽培期間の水環境をみると、3月中旬から出穂期に当たる4月中旬までは降雨量が多く比較的湿潤であるのに対し、4月中旬から5月の登熟期は比較的天気が良く乾燥する。生育期間中のこのような水環境の変化は、コムギの生育や収量に無視できない影響を及ぼすと考えられる。前報では、出穂前の1ヶ月間を低土壌水分条件下で生育させた後、出穂期に灌水し、その後は土壌水分が著しく低下しない程度に灌水して生育させたコムギ(乾燥区)と、平年の降水量に準じて灌水し生育させたコムギ(湿潤区)とを比較した。その結果、乾燥区のコムギは湿潤区のコムギに比べて、乾物重、子実収量が高くなること;乾物重が大きいのは、高い純同化率(NAR)によっていること;NARが高いのは、登熟期の葉身の光合成速度が高く、葉の老化に伴う光合成速度の減少が小さいこと;が明らかとなった。本報告では、前報と同様に乾燥区と湿潤区にコムギを生育させ、生育、乾物生産、収量、および個葉光合成速度を比較するとともに、根系の分布や生理的活性に注目し、このような相違が生じる要因について検討した。