著者
有馬 朗人
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.28, no.8, pp.654-669, 1973-09-05

原子核の磁気モーメントについての研究は, 随分長い歴史があります. そこでの重要な発展の契機が理論実験を通じて, 日本で行なわれたものが多いことを誇らしく思っています. この小論で, 私は奇A核の磁気モーメントについて, 波動関数のわずかな配位混合の重要性を指摘します. しかもただやみくもに混ぜるのではなく, 多体問題的に言えばくりこみに類似の機構を考慮に入れることであることを指摘します. そして磁気モーメント以外にも同様の考慮の重要性を示します. これは堀江久氏と一緒に展開した理論です. 波動関数の変化という見方を離れ, 演算子を補正する形で見なおすと, 主としてg_sが変化し, 新たにg_p[Y^<(2)>s]^<(1)>という項が生じることを示します. このg_sの変化はきわめて重要で, 有効g_sは自由核子のg_sの半分になります. そしてM1-転移の実験で見事に証拠づけられます. それぞれ低いスピン状態ではこのような考慮だけで殆どすんでしまいますが, 高いスピン状態j&gsim;9/2の磁気モーメントでは宮沢氏が導入したダイメソニックスの影響によってg_lが5%〜10%増加することを考慮する必要性もあることについて述べ, あわせて最近の発達について論じたいと思います.

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