著者
大浜 紘三
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.30, no.12, pp.1687-1695, 1978-12-01
被引用文献数
1

ヒト胎生初期における染色体異常の頻度および発生に関する各種要因,ならびに性比を検討するため,妊娠12週以前の人工流産児の染色体を検索し以下の結果を得た. 1. 1,224例の培養を行ない1,087例の染色体分析が可能で,その中53例(4.9%)に染色体異常が認められた.染色体異常は,モノソミーX5例(45,X,t(3q+; 6q-)の1例を含む),トリソミー39例,複合異数体4例,3倍体2例,4倍体2例,モザイク1例で,トリソミーの内訳はトリソミー16が8例,トリソミー22が7例,トリソミー21が6例,トリソミー18が3例,トリソミー2, 5, 14各2例,トリソミー4, 7, 10, 11, X, 15, 17, C, D各1例であり,モザイクの1例は46/47, +22であつた. 2. 染色体異常の発生要因検討により,高年婦人よりの例に染色体異常特に配偶子形成時の染色体不分離に起因するトリソミー,複合異数体の頻度が高いことが認められたが,父親年令との関連については否定的であつた.また妊娠歴,月経状況,結婚状況および妊娠前後の薬物服用の分析では,特に染色体異常発生の要因となるものは認めず,原爆被曝についても明確な結論は出し得なかつた.ただ妊娠中に極く少量ではあるが不正性器出血を認めた10例のうち4例に染色体異常が見い出された. 3. モノソミーX,3倍体を除く1,079例の性比は102.1(男545例,女534例)で,既にこの時点で僅かながら男優位になつていることが認められたが,8週0日以前の例では逆に女児がやや多く(男324,女331,性比97.9),また妊娠順位の検討では初回妊娠例に女児が多かつた(男62,女69,性比89.9).更に染色体異常例だけについて見た場合も女児が多い(男20,女25)結果であつたが有意差は認められなかつた.(χ^2=0.69, p<0.1)

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