著者
齋藤 正淳
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.59-67, 1968-01-01

ヒト子宮筋組織内に於ける Progesterone (以下prog. と略す)は, 検体からの抽出, 及び微量検出法が困難な事から, 従来尿中の Pregnanediol (以下PGと略す) 及び血中のProg. を測って推定していたに過ぎない. 私は, gas-liquid-chromatography (GLC) を用いる prog.の微量定量法により, 妊娠各期の子宮筋 (胎盤附着部と非附着部), 及び胎盤の prog.を定量し, prog.の妊娠, 分娩に及ぼす影響, 特に分娩発来との関係について検討した. 子宮筋組織内の prog.の平均値は, 妊娠17週以前に於て, 附着部 0.86μg/g, 非附着部 0.25μg/g, 妊娠31〜38週で陣痛のないものは附着部 2,54μg/g, 非附着部 2.55μg/g, 陣痛のあるものは, 附着部 3.14μg/g, 非附着部 0.51μg/g, 妊娠39週以後で陣痛のないものは, 附着部 1.49μg/g, 非附着部 0.19μg/g, 陣痛のあるものは附着部 0.69μg/g, 非附着部 0.83μg/g, 胎盤は 5.96μg/gであった. これらの成績によると, 胎盤の Prog.は子宮筋に直接浸透して妊娠維持作用を行なうものと思われる. 即ち子宮筋組織内の prog.は妊娠の経過と共に次第に増加し, 妊娠末期になると減少する傾向があり, 特に陣痛発来後では胎盤非附着部 prog.の減少がみられ, 陣痛発来前では附着部prog.は減少していない事から, prog-block説は妊娠末期のヒトの子宮についてはある程度合理的であるといえるが, 妊娠中期に於では必ずしも合理的ではない. 即ち prog.-block消退は陣痛発来の一要因ではあるが, 妊娠末期になると急増する子宮収縮増強因子も陣痛発来機序に大いに貢献するものと思われる.

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こんな論文どうですか? ヒト子宮筋及び胎盤組織内 progesterone に関する研究(齋藤 正淳),1968 http://t.co/1IifFgyLZW
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