著者
本山 悌一
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.1197-1204, 1981-08-01

ヒト卵巣癌由来の培養細胞, KuramochiとCKSの2株のin vitroにおける形態学的および生化学的待性を明らかにし, 次いでMitomycin Cに対する感受性の定量的な解析を試みた.2株は, いずれも典型的な上皮様配列を示した.未分化癌由来のKuramochi株は, 細胞表面に微絨毛を持ち, 比較的発達した接着装置を有するが, 分泌穎粒や分泌空胞は認められなかつた.染色体は50にモードを有する高2倍体であつた.集団倍加時間は約26時間であつた.漿液性撃胞康癌由来のCKS株は, 分泌空胞を有し, 徴絨毛も認められるが, 発達した接着装置は認められなかつた.染色体は37にモードを有する低2倍体であつた.集団倍加持問は約34時間であつた.2株ともAFP, HCG, CEAなどの生化学的マーカーは有しなかつた.Mitomycin C2時間処理の90%致死量値は, Kuramochi株では0.42μg/ml, CKS株では1.13μg/mlであり, Kuramchi株の方がMitomycin Cに対して感受性が高かつた.しかし, 対照として用いた胃印環細胞癌由来のKATO-III株に比べると2株ともはるかに感受性が低く, 卵巣癌がMitomycin Cに対して低抗性であることが示唆された.

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こんな論文どうですか? ヒト卵巣癌培養細胞の生物学的特性とMitomycin C感受性に関する研究(本山悌一),1981 http://id.CiNii.jp/JRIYL

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