著者
小倉 肇
出版者
日本語学会
雑誌
國語學 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.1-16, 2003-01-01

〈大為尓〉は,源順の「あめつちの歌四十八首」の冒頭2首および『万葉集』巻1の巻頭歌ならびに『三宝絵』序の冒頭に引く古人の「漢詩」を踏まえて作成された,「江」を含む48字の誦文で,作者は,『口遊』『三宝絵』の著者,源順の弟子の源為憲である。〈大為尓〉は,綿密かつ周到に計算された用語で構成されており,まさに「此誦為勝」と見なすことのできる内容の誦文(韻文)となっている。〈阿女都千〉から〈大為尓〉への改変は,源為憲の「ちゑのあそびの産物」であり,「此誦為勝」という注記は,音韻史の問題(ア行「衣」とヤ行「江」の区別)とは全く関係のないもので,そのまま文字通りの意味で理解することができる。また,五音と誦文との相互補完的な結びつきは,〈以呂波〉が成立してから後のことであることも改めて確認する。

言及状況

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よみにくかった。。
[文学][語彙] 「和漢の綜合および僧俗の綜合を意図した、源為憲のまさに「ちゑのあそびの産物」であったと」

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