著者
Norman Christopher P.
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
Crustacean research (ISSN:02873478)
巻号頁・発行日
no.24, pp.137-145, 1995-12-15

短尾類の被食防御機構としての有毒化の有効性を確認するため,1990年6月から1992年12月までの間スキューバで採集した有毒なスベスベマンジュウガニAtergatis floridusの自切の程度を調べた.性比はほぼ1:1であった.雌雄ともにかなりの程度自切がみられたが,自切頻度には雌雄差がみられ,雄(41.3%)は雌(18.4%)より高い値を示した.また,部位別の自切頻度も雌雄で異なり,雄では第1,3および4歩脚における自切頻度が鉗脚および第2歩脚のそれより有意に高かったのに対し,雌では鉗脚および各歩脚間に有為な差はみられなかった.本種の自切頻度は既報の他種と同程度であった.このことと,採集地点における本種の行動観察および捕食者との相互関係を考慮すると,主要な被食防御機構としての毒の保有の生態的意義は当初予想されたより低いと思われる.

言及状況

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