著者
立川 和平
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.18-36, 1997-03-31

本研究は, 需要構造の変化や1985年以降の円高に伴う織物産地の変容を, 産地構造研究と産地支配研究の融合的視点から, 個別機屋の存立形態を分析することで明らかにすることを目的としている. 福井産地では, 原糸メーカー・商社が組織する系列生産が一般的で, 原糸メーカー=大規模機屋, 県外商社=中規模機屋, 産元商社=小規模機屋の3階層構造を形成してきた. 1970年代以降, 織物需要の高級化・多様化の結果, 原糸メーカー・商社は, 革新織機の導入による生産コストの削減と, 多品種少量, 高付加価値生産が可能な機屋の選別を進めている. これに対し, 大規模機屋は豊富な生産力と技術力を背景に, 原糸メーカー・県外商社と取引を継続している. 中規模機屋のうち, 多品種少量生産や差別化織物の生産を実現している機屋は, 県外商社と取引を継続しているが, 量産体制から脱却できていない機屋は, 県外商社系列から脱落し, 産元商社等の系列に編入されつつある. 小規模機屋は産元商社系列にあるが, その中で「すきま」的な分野に特化した機屋と, 量産・定番織物を生産する機屋とが存在している. つまり, 従来の県外商社階層が県外商社階層と産元商社階層に分解し, 4階層構造に変化している. 福井産地は, 定番織物機屋が消滅する一方, 技術集約的な差別化戦略の「先端型」大・中規模機屋と, 特定分野への専門化戦略の「すきま型」小規模機屋に収斂するという縮小再編成過程にある.

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