著者
桂田 浩一
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, 2000-11-01

知識ベースの変換技術は, 動的に変化し得る現実世界を知識ベースシステムにおいて取り扱う際の, 重要な要素技術である.本論文は, 知識ベース中の例外に着目した合理的な知識ベースの変換法を提案するもので, 全5章から構成される.1章の「緒論」に続き, 2章の「非単調論理に基づいた知識ベースの変換」では, 本論文で用いる"通常ルール"(常に結論を導くルール)と"デフォルトルール"(例外に関して結論を導かないルール)からなるデフォルト論理の部分体系について述べるとともに, 従来の知識ベース変換法を紹介し, それらの手法が例外に着目したものでないことを指摘している.3章の「矛盾に基づく知識コンバージョン」では, 例外によって矛盾が引き起こされた場合に, 通常ルールをデフォルトルールに変換し, 矛盾の原因となる例外に関する結論だけを導かなくすることによって矛盾を解消するための条件を示し, 変換のアルゴリズムを提案している.4章の「知識の例外に関する観点変更」では, 例外の多いデフォルトルールについて"例外"と"非例外"の捉え方を逆転すること, すなわち, より例外の少ないデフォルトルールに変換することによって, 例外に関連する通常ルールを減少させる手法を提案し, その効果を実験的に示している.5章の「結論」では本論文で得られた結果を総括するとともに今後の課題を論じている.

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