著者
朝倉 秀夫 池上 克重 中井 ゆかり 脇田 久伸
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.735-744, 2000-10-05
参考文献数
26
被引用文献数
3

酸化アルミニウム-酸化クロム(III)質耐火物(AC質耐火物)へのガラスビード(GB)/蛍光X線分析(XRF)法の適用を図った。AC質耐火物中には多量のCr<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>が含有されているため,試料の融解はLi<SUB>2</SUB>B<SUB>4</SUB>O<SUB>7</SUB>単独ではできず,酸化剤としてLiNO<SUB>3</SUB>を添加することによって可能となった。GB作製条件は,試料0.2000g-Li<SUB>2</SUB>B<SUB>4</SUB>O<SUB>7</SUB> 4.0000g-LiNO<SUB>3</SUB> 2.000g,1250°C-10分間とした。Cr含有試料の融解は,Cr(III)がCr(VI)に酸化され,CrO<SUB>4</SUB><SUP>2-</SUP>イオンとなることによって進行することが知られており,このことをCrK吸収端のX線吸収端近傍微細構造(XANES)スペクトルによって確認した。XANESによるCr(VI)の半定量分析結果によると,Li<SUB>2</SUB>B<SUB>4</SUB>O<SUB>7</SUB>単独で融解したGB中では全Crのうちの7%に過ぎなかったCr(VI)の量が,Li<SUB>2</SUB>B<SUB>4</SUB>O<SUB>7</SUB>にLiNO<SUB>3</SUB>を加えることにより39%にまで高められていた。また,定量成分のNa<SUB>2</SUB>Oを含有するため実用できないが,融解が非常に容易だったNa<SUB>2</SUB>B<SUB>4</SUB>O<SUB>7</SUB>にNaNO<SUB>3</SUB>を加えたGBでは95%がCr(VI)になっていた。検量線用GBはJRRMなどの市販標準物質と高純度試薬Cr<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>を1μgまで読み取れる精密ミクロてんびん上で量り合わせたものをGBにすることによって作製できた。検量線の標準偏差はAl<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>で0.21mass%,Cr<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>で0.07mass%であり,微量成分についても満足できるものであった。

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