著者
渡辺 光義
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.263-266, 2001-04-05
被引用文献数
1 1

化学蒸着法により合成された炭化ケイ素(CVD-SiC)は純度, 密度, 強度及び耐酸化性が共に高い. このち密で硬いCVD-SiCをアルカリ融解するために微粉砕すると粉砕器からの汚染を避けられず, 粗粉砕すると汚染は避けられるが, より高温でのアルカリ融解を要し, 融解反応が不均一かつ瞬発的に激しく進むため, 試料の飛散損失を招きやすい. 粗粉砕(0.35〜1.5mm)した試料0.25gを炭酸ナトリウムとホウ酸の6:1混合融剤3gで融解する際, 酸化鉄(III)0.1gを添加すると反応は穏やかに進み, 試料の飛散は全くなく融解時間も短縮できた. 融解生成物を塩酸に溶解後, 凝集重量法により主成分の全ケイ素を定量した結果, 相対標準偏差<0.04%と, 酸化鉄を添加しないときに比べて約10倍の高精度で定量できた. なお, 5試料の並行分析に約2日間を要した.

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