- 著者
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馬 廷英
- 出版者
- 日本地質学会
- 雑誌
- 地質學雜誌 (ISSN:00167630)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.529, pp.931-938, 1937-10
現生及び化石造礁珊瑚類の骨體に季候成長構造があるのみならず其年成長が海水温度の高低と一定の關係を有することを巳に筆者によつて證明されたところである。本篇は文献の挿圖より北半球各地産出八屬二十種の奧陶紀床板珊瑚の成長率及び季候成長構造發達程度を比較研究し以て當該時代に於ける北半球各地の氣候状態を推想しやうと思ふ。是より得た結論としては北極地方及び北米のHuron湖, Ohio, Michigan, Indiana一帶の産地の海水温度は最も温く, 英國諾威瑞展及び獨〓等の北歐造礁珊瑚化石産地は上記の諸地方より寒い, 加拿太のAnticosti Islandは英國と大差がない, 諾威及び英國は獨〓より温く中央ヒマラヤ地方は稍々諾威に近い。上記の事實より考へれば北極地方及び北米のHuron湖, Ohio, Michigan, Indiana諸産地の一帶は當時造礁珊瑚の内側或は内帶に屬すべく北歐の英國諾威瑞典獨〓及び亞細亞の中央ヒマラヤ地方は珊瑚海の外側又は外縁に相當するものと思はれる。