著者
半澤 正四郎
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.50, no.595, pp.125-135, 1943-04-20

最近槇山次郎教授により相良油田の數地點に於て大井川層の石灰岩からNephrolepidina nippoica (HANZAWA) 及びMiogypsina kotoi HANZAWAが發見され, 大井川層は關東山地御坂層に對比された。同油田の男神山及び女神の帝釋山・蝙蝠山の石灰岩は古くから石灰藻類・軟體動物・有孔蟲其他の化石が産する事が知られて居ったが, 時代を決定する樣な有孔蟲は未だ發見された事が無かった。筆者等は今囘女神及び男神の石灰岩からも上掲有孔蟲を發見する事を得, 同石灰岩の時代を古生物學的に大井川層で御坂層に明確に對比し得可き事を立證する事を得た。且つ勝間田村小仁田から數多の遊離した有孔蟲の標本を採集しNephrolepidina nipponicaの以前の不十分な記載を補正し, 更に夫と比較研究を行った臺灣臺北州海山郡鶯歌庄山仔脚坡内坑産Nephrolepidina verbeekiの再記載を爲した。男神山其他の地點の石灰岩中にはHomotremaが含有して居るが, 夫と比較研究の爲ヤルート及びカヤンガル産現生Homotrema rubrumの内外部構造の精細な研究を行った。從來本種の内部構造の解釋に就ては先人の間に異説があったが, 本研究により從來の見解を少しく改む可きを知った。また現生種と、の比較研究阪より男神山のHomotremaは現生種と同定すべきものである事も判明した。

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