- 著者
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門馬 拓哉
酒井 宏
- 出版者
- 一般社団法人映像情報メディア学会
- 雑誌
- 映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.23, pp.5-8, 2003-03-20
本研究では、2次元テクスチャを付与した場合、しない場合における陰影からの3次元構造知覚について心理物理学的に検討する。これにより陰影と輪郭の相互作用を明らかにする。具体的には、単純なグラデーションを付与した円形の領域(図)に、ホワイトノイズ(WN)やランダムドット(Rnd)を付与した場合について検討した。実験により次の結果が得られた。(1)図と地の平均輝度が等しい湯合(上下方向に図/地のコントラスト極性が変化する場合)に知覚が向上する。(2)WNを図に付与すると、図が地より暗い場合は知覚が向上する。(3)Rndを図地の両方に付与すると知覚は低下する。(4)黒線で図の輪郭を囲むと、図が明るい場合には知覚が向上する。これらの結果から、テクスチャの付与等によって、図と地の境界が区別されやすくなる場合には陰影からの3次元知覚が向上し、区別しにくくなる場合には知覚が低下することが示唆された。