著者
岡本 素治
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.10-17, 1983-04-25

スダジイの花の各花言葉が発生する様子を観察した。花の初期発生では、雄花と雌花は、ほとんど区別しがたいほど、よく似ている。雌花では各花言葉の発生順序は次のようになる。外花被(3)→内花被(3)→外花被に対生する雄ずい(3)。この内花被に対生する雄ずいとほぼ同時に、花被に互生する雄ずいが形成されはじめる。その位置は外花被に対生する雄ずいの両側である。外花被に対生する雄ずいの内側に、雌ずいの原基があらわれる。花被に互生する雄ずいは、放射方向に細長い原基としてあらわれる。成熟した段階ではこの雄ずいは横向きである。一方花被に対生する雄ずいは内向きとなる。なお、雌花ではこれらの雄ずいは生長が停止し、仮雄ずい的となり、開花時にも花被に包まれたままのことが多い。雄花も雌花とほぼ同様の発生順序をたどる。ただし、雄花では花の向軸側の発生が背軸側に比べ著しく早い。雌ずいの原基も雌花に於けると同様に発生するが、子房室は最後まで閉じることなく、密線となる。このような花の発生様式をどのように解釈すべきか議論した。また花序の先端に花のような構造ができることに言及した。

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