著者
谷 誉志雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.91-100, 2001-03-31

アメリカのジェイムス・クレノフとウェンデル・カースル、イギリスのデヴィッド・パイとジョン・メイクピースには、現代木工芸の動向を概観するうえで、典型となりうる造形表現の手法と工芸思想が認められる。クレノフとパイは、工芸におけるアマチュアリズムの考え方を提唱している。彼らが目標としているのは、作品のオリジナリティー、つまり「フォルムの差異」を追究することではなく、木がもっている親密なクオリティを「真のアマチュア」の仕事で作品に結実させることである。現代の人工的環境が失った美的クオリティの探究が工芸の存在理由であるとクレノフとパイは考えている。作品はもとより、教育と著作を通じてこのような思想が支持されていることは彼らの大きな業績である。対照的にメイクピースとカースルは、フォルムに量産品との能動的な差異を求め、ダイナミックに変貌する造形スタイルを展開している。4人の著名な作家を例にとって見たイギリスとアメリカの現代木工芸は、造形スタイルと工芸思想の対蹠的構図を端的に示している。

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編集者: ホーボー
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