著者
坂本 久子 川上 秀人 松岡 高弘
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.53-62, 1998-09-30

本稿は, 19世紀後半のアメリカでの熱狂的日本流行のはじまりといわれるフィラデルフィア万国博覧会(1876年)の日本の出品物について明らかにするため, 本館における日本の展示を, 今日に残る写真をもとにして考察したものである。その結果, 「米国博覧会報告書 日本出品目録 貮」に付図された「米国費府博覧会本館内日本列品区畫図」は, 写真に見える範囲において, 出品物の配置, 出品物名, 出品人名を, ほぼ正確に伝えていることが分かった。このことにより, 部分的ではあるが, 出品物と会場構成との関係が明らかになり, それとともに, 一部の写真の出品物について類推できた。また, 写真と類似の挿絵を掲載した当時の出版物の記述内容や出品目録の記述内容を考察することにより, アメリカの人々の日本の出品物への受け止め方, アメリカでのアール・ヌーヴォーとの関連, そして, ウィーン万国博覧会(1873年)との関連が明らかになった。

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