著者
石井 久雄
出版者
日本語学会
雑誌
國語學 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.123-130, 2002-01-01

本書は、漢字と仮名とを日用の具とするなかで、うみはぐくんだ論である。読後、その感をふかくする。表語文字と表音文字とが知識にとどまる水準では、なかなかになしとげられなかったであろう。それが本書の存在意義である。初版刊行後一年余にして在庫がつきた由であり、おおかたの賛仰をえたと推測する。私は、しかし、著者のよい読者ではない。著者の主知的な論理には、いつも首をうなだれるしかなく、私はずぼらにいきるさと身をひくばかりである。本書もしかりであった。なにか得心がゆかないまま、世のながれにのることができない、そういう読者が片隅にのこっていると呟くことが、この文章の目的である。書評は、対象が読みたくなるように記すべきであるであろうが、この文章はそうなっていない。諸賢の寛恕をこいたい。

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> 書評は、対象が読みたくなるように記すべきであるであろうが、この文章はそうなっていない。

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