著者
山田 聰
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.401-407, 2006-06-05
被引用文献数
3

しばらく前までは「がん」とは不治の病であり,本人への告知すらためらわれる大変な病であった.現在でもがんにょる死亡者数は増え続けているものの,新しい診断装置や治療法の研究が進展するにつれ,早期発見できれば多くのがんは治るものと考えられるようになってきた.その中でも従来の医療機器に比べればはるかに大型の加速器を用いて陽子や炭素イオンを高いエネルギーに加速してがんに照射する粒子線治療法が優れた臨床成果を残しつつある・放射線療法は患者に負担の少ない治療法と言われる一方で,長い間放射線ではがんが治ることは少ないとも言われてきた.また,わが国では頭髪が抜け落ちるなどという副作用も必要以上に心配されてきた.本稿ではこのような放射線療法に対する固定観念を一変する炭素線治療法を中心に現状を概観する.

言及状況

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