著者
大橋 定明
出版者
関西学院大学
雑誌
KGPS review : Kwansei Gakuin policy studies review
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-30, 2006-03-15

本研究の目的は、精神科病院長期入院患者に対するソーシャルワーク援助に従事している複数のソーシャルワーカーへのインタビューを通して、最も効果的な退院援助のアプローチを探索することである。日本の精神科医療は、入院日数の長さ、入院患者の多さ、そして極端に長期間入院している患者の存在の3点が特徴である。そして、長期入院は患者の意欲や現実感を喪失させ、一方で依存性を強化し、患者の退院を一層困難にしている状況がある。そこで、本研究では精神科病院または精神科のリハビリテーション部門に勤務する、経験年数がおおむね10年以上の8名のソーシャルワーカーに、筆者の作成した長期入院患者の事例をあらかじめ郵送した上で、後日、インタビューを行い、彼らがその事例に対して考える退院援助の方法や、その際のポイントを聞き取った。そして、インタビュー内容の分析を行なった結果、8名のソーシャルワーカーが述べた退院援助のポイントは、(1)アセスメント(2)患者との関わり方(3)援助プランニング(4)退院援助をすすめる際に重視するその他のポイント、の4つのセクションにカテゴリー化された。そして、それらのカテゴリーは24項目の要素で構成されていた。筆者はこれら4カテゴリー、24項目の要素が、長期入院患者の退院援助に効果的であると結論付けた。

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