著者
清川 昌一
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.12, pp.730-748, 2006-12-15

ベリース国北部からメキシコ国境付近に分布するアルビオン層は,チチュルブクレータから330〜470kmの距離にあり,クレータから最も近い陸上に露出するイジェクタ層である.地層は下位のスフェロイド単層と上位のダイアミクタイト単層からなり,全層厚は7〜30mで側方に薄くなる.スフェロイド単層は直径0.5〜3cmの変質粘土のスフェロイドと変質したガラス質粘土岩片で構成される.古流向はチチュルブクレータ方向を示し,高速の流れを示すシュート・プール流の特徴を持つ.ダイアミクタイト単層は最大直径10mの巨大ブロック・衝撃変成石英を含む淘汰の悪い炭酸塩磯岩層である.ブロックは厚い炭酸塩付加物で覆われる付加岩塊を形成し,その粒径頻度分布と岩石類似性からすべて同一起源の岩塊と判断される.アルビオン層の特徴は,隕石衝突で形成したイジェクタ堆積物が2段階の異なる様式で堆積することを示しており,イジェクタ形成モデルに大きな制約を与える.

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