著者
沓名 拓郎 甲斐 良隆 福島 雅夫
出版者
公益社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌 (ISSN:13498940)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.62-88, 2006
参考文献数
9

モーゲージ担保証券(Mortgage Backed Securities, MBS)とは,多数の住宅ローンを寄せ集めてローンプールを作り,その返済キャッシュフローを原資として発行される証券である.近年,住宅金融公庫によるこれまでの融資業務の段階的縮小と,民間住宅ローンの証券化支援業務の開始が決定された.これにより,今後日本においてMBSはますます普及すると考えられる.住宅ローンでは,基本的に毎月の決められた返済以外に繰り上げ返済が認められており,繰上返済により返済キャッシュフローが変化する.このため,MBSには期前償還リスクが存在する.現在発行されている公庫MBSはパススルー方式であり,流れ込む返済元利金は(繰上返済分も含んで)そのまま投資家に渡される.これに対し,返済キャッシュフローを人為的に再編成し,リスクの異なる複数の債券に分離して販売する方式(Collateralized Mortgage Obligation, CMO)が考えられている.本研究の目的は,優先劣後構造を用いた最適なCMOを設計するための手法を提案することである.期前償還リスクの影響下で不安定な返済キャッシュフローを,期前償還リスクの低い安定した部分(優先債券)と,期前償還リスクの高い不安定な部分(劣後債券)の2つのクラスに分ける.その際,より多くの優先債券を発行するため,各時点において返済金の一部分を次の時点までリザーブできると仮定する.本研究では,優先劣後構造を決定する問題を数理計画問題に定式化する.そして,シミュレーションに基づいた手法を用いて問題を近似し,その問題が等価な線形計画問題に再定式化できることを示す.さらに,提案した基本モデルおよびその修正モデルに対して数値実験を行い,それらのモデルの有効性を検証する.

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

こんな論文どうですか? キャッシュリザーブを用いたモーゲージ担保証券優先劣後構造の最適設計(沓名 拓郎ほか),2006 https://t.co/tRUSkhwfwg モーゲージ担保証券(Mortgage Backed Securities, MB…

収集済み URL リスト