- 著者
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上西 知子
- 出版者
- 美術科教育学会
- 雑誌
- 美術教育学 : 美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
- 巻号頁・発行日
- no.28, pp.39-50, 2007-03-31
本稿は,美術制作過程がどのように自己理解につながるかをリクールの「ミメーシスの循環論」,メルロ=ポンティの「スタイル論」,ワロンの「発達」理論に学びながら検討する。美術制作過程は「『内的他者』との対話」と捉えることができ,その中で身体行為が作品を作り,作品の「スタイル」から意味を引き出し自己理解につながる過程と考えられる。この構造は制作過程について語る制作者自身の「語り」の中に「3人の私」という形で表れることに注目し,身体的行為から始まる美術制作は,制作過程そのものが精神的自己理解を獲得可能とする,より広範な教育過程につながることを明らかにする。