図書館情報学と哲学の接点の一つは,図書館等のアーカイブ機能に関して倫理的な検討を行うことにあることを提示する。幾人かの図書館情報学研究者は,図書館が権力性を持ち,コミュニティー・文化・イデオロギー等を形成する力能を有することを指摘している。そうした認識を,ミシェル・フーコーや彼の哲学に大きく影響を受けたメディオロジーは共有しつつ,アーカイブという営為の権力性に自覚的であるための倫理学を提唱していることを説明する。各国国立図書館およびGoogle Book Search等が世界規模のデジタル・アーカイブを構築しつつある現在,こうした倫理学の存立は不可欠であるという主張を行う。