著者
関根 重幸
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
年次学術大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.961-964, 2006-10-21

本研究では「規制・規格に関する社会システムについて、それらを活用する立場に立った構造化を検討し、可能であれば整理体系化する。」ことを試みた。より具体的に「規制を定める法律や政令等とその中で引用される規格等は、体系的に整理可能であり、よって、製品やサービスの普及に戦略的に利用できるはずである」との仮説のもとに調査を行った。例えば、「規制」とは最低限の性能基準を設けるものであるから、規制値をかろうじて超えるような製品(技術)の場合には、規制をクリアすることが必須であり、また、規制が有ること自体が普及を促進する。一方、高性能・高付加価値製品の利用者にインセンティブを与えるような社会システムもある。自動車保険のエアバック割引やハイブリットカー補助金などのように、製品としての基本的な性能・安全基準等はクリアした上で、さらなる付加価値に対してインセンティブを付与するシステムである。結論として、製品等の普及を促進する上で規格を活用する社会システムを、「規制」、法律等による「努力義務」、「標準のお墨付き効果」および「高性能インセンティブ」の4類型に分類した。それらのシステムによる基準レベル(規制値等)と技術で実現可能なレベルとの差の大きさによって、普及に影響を及ぼす社会システムが異なることが予測される。いずれの社会システムにおいても、基準レベルの測定法などで、しばしばJIS等の規格を参照している。したがって、いつ頃どの様な規格が成立するか(させるか)を戦略的に活用するビジネスモデルのデザインが可能であろう。

言及状況

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