著者
藤森 淳 吉田 鉄平
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.815-821, 2007-11-05

高温超伝導の舞台は強い電子間クーロン相互作用がもたらす異常な金属状態である.なかでも異常な「擬ギャップ」は,超伝導転移温度T_cを超えた高温からフェルミ準位上の状態密度が減少する現象であるが,その起源はまだ明らかではない.最近の角度分解光電子分光(ARPES)実験により,擬ギャップ状態で残ったフェルミ面の一部が「フェルミ・アーク」として観測されている.固体物理学の常識では考えにくいこの現象を理解するため,理論・実験両面で精力的な努力が行われている.本稿では,興味深いフェルミ・アークに関するこれまでの研究状況を整理し,この異常な電子状態の理解が超伝導発現機構の解明にどうつながるか展望を述べる.

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「擬ギャップ状態で残ったフェルミ面の一部が「フェルミ・アーク」として観測されている.固体物理学の常識では考えにくいこの現象」 http://t.co/Gg3rYJBvwf

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