著者
北村 征生
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.20-28, 1986
被引用文献数
1

暖地型マメ科9草種,イネ科9草種について,土壌酸度に対する生育反応と根粒の形成反応を調査した。暖地型マメ科イネ科草種の生育にとって好適な土壌pH域は,一般に,寒地型草種より低いと考えられたが,草種間差があり次のような結果を得た。イネ科草種:バッフェルグラス≒ローズグラス≒モラセスグラス(pH4.5〜6.5)<パラグラス≒ギニアグラス≒パンゴラグラス(5.0〜7.0)<セタリアグラス≒スターグラス≒ダリスグラス(5.5〜7>).マメ科草種 : エンデイバー≒ベラノ(4.5〜6.5)<セントロ≒サイラトロ(4.8〜7)<ロトノニス≒シルバーリーフ≒グリーンリーフ≒クパー(5.0〜7.0)<ギンネム(6.2〜7>)。ただし,ロトノニスとサイラトロは好適pH域が広く,強酸性土壌に対する適応性はベラノやエンディバーに劣らないと考えられた。マメ科牧草の根粒形成に対する好適pH域は宿主植物の好適域よりも高いことが明らかになった。酸性土壌に対する適応は,イネ種草種では根による土壌養分の吸収効率の向上,マメ科草種では根系伸長量の増大に負うところが大きいと考えられた。以上より,暖地型牧草の栽培に必要な石灰施与量は寒地型牧草の場合より少量でよいと考えられた。

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