著者
三好 達也
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大學大學院紀要 (ISSN:13442422)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.159-171, 2003-03-01

今日、日本におけるボランティアは地縁関係を中心とした従来の互助的なボランティアから個人の興味・関心によっておこなわれるものへと変化している。そこで、依然として根強い地縁関係をもつコミュニティである一方で「世界遺産」に登録され、観光地化されている「白川郷・五箇山の合掌造り集落」に焦点をあて、「重要伝統的建造物群保存地区」及び「史跡」指定から「世界遺産」登録後のボランティアに関する意識変化について調査し、過疎地域のおけるボランティア精神の特色やその変化について、萱葺きの葺き替えや冠婚葬祭などの互助的な慣習である「結(ゆい)」の果たしてきた役割を中心に考えてみたい。調査方法としてはインタビュー調査を用いた。テンニースの理論をもとにした分析の結果、「結」を中心とした互助的なボランティアと観光客を対象とするボランティアが混在していることが明らかになった。つまり、「白川郷・五箇山の合掌造り集落」におけるボランティア精神はゲマインシャフトからゲゼルシャフトへと移行しつつあり、そこには「結」によって互助関係は継続され、観光地化によって近代化が進むことで独特なボランティア精神を形成しているといえる。

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