著者
西田 昌彦
出版者
金沢工業大学
雑誌
KIT progress : 工学教育研究 (ISSN:13421662)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.59-79, 2008-03-01
被引用文献数
3

平成16年度から18年度にかけて担当した1年次生に対する工学基礎物理の授業において、授業改善の試みとして3年間で授業のやり方を少しずつ変えてみた。平成16年度は自然法則や理論の解説を中心とし、平成17年度は演習問題の解法に重点を置き、平成18年度では両年度のやり方のバランスをとり、自然法則や理論の解説を中心としながらも演習問題の解法にも意を用いた授業を実施した。本論文では、過去3年間の工学基礎物理の授業において、授業の主たるやり方の違いに伴って学生による授業評価や成績との相関がどのように変わるかを分析した結果を報告する。まず、平成18年度の授業評価を主成分分析し、平成16、17年度の分析と比較した。分析によれば、授業のやり方を変えたにもかかわらず、第1主成分(授業の良さ)と第2主成分(学生の基礎学力)の基本的性格は年度によってはほとんど変わらない。しかしながら、重要な点に著しい違いがあることが分かった。それは、第2主成分と「授業への真剣さ」との問の相関において、平成16年度には正の相関があり、平成17年度には負の相関があるのに対して、平成18年度にはほとんど相関がないという点である。一方、演習問題解法に対する学生の達成感に対する重回帰分析によれば、学生の達成感は授業評価データと密接な関係がある。ところが、試験の成績に対する重回帰分析によれば、平成18年度では試験の得点と授業評価データとの間にほとんど相関がない。この点は平成16年度の分析とはかなり異なるが、平成17年度での分析とよく似ており、平成18年度の授業のやり方でも、試験の成績が大きく向上した平成17年度と同様の教育的効果が得られることが判明した。

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