- 著者
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有道 惇
津上 崇
- 出版者
- 中国学園大学
- 雑誌
- 中国学園紀要 (ISSN:13479350)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, pp.183-193, 2007-06
今日,我が国の子どもたちが歌っている歌は非常に多様である。それらは,ポップス調,民謡調,わらべうた,唱歌,童謡そしてアニメソング等と,歌の種類は非常に幅が広く,全国各地に広まっている。これには,昭和24年に始まった「歌のおばさん」1)等のマスメディアの力による影響が大きく,このような傾向は今日まで継続している。一方,これら多様な「子どもの歌」は,明治以降における西洋化の影響と,これに沿って取り組まれた,西洋的な歌を作るという国の方針とが相俟って,多数の唱歌や童謡が誕生してきた。ところが,この国の方針にも関わらず,誕生してきた歌は,日本語の抑揚にも起因して,伝統的な「わらべうた」,「子守歌」,「民謡」等にみられる「ヨナ抜き音階」の側面が今日まで尾を引いているものも少なくない。そこで,明治以降の「子どもの歌」を分析検討することで,いわゆる西洋音楽(以下,洋楽と略)の受容がどのように行われて,伝統的な音楽(以下,和楽と略)が「子どもの歌」にどのような影響を及ぼし,両者がどのように融合してきたかを検討する。