- 著者
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松澤 正
目黒 力
田子 利法
野田 隆基
- 出版者
- 群馬パース大学
- 雑誌
- 群馬パース大学紀要 (ISSN:18802923)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, pp.427-433, 2007-03
- 被引用文献数
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温熱療法は痛みの治療、循環の改善、筋緊張の緩解等の治療で、最もよく使われる治療法である。その温熱療法の中では、その手軽さからホットパック療法がよく使われる。ホットパック療法は、シリカゲルを厚手の布袋に詰めたものを熱水(80〜90℃)に浸した後、バスタオルでくるみ患部に当て、温熱刺激を与えるものである。シリカゲルは、多孔質で、比熱のきわめて高い物資で、水分を含んだシリカゲルは、ゲル状の半固形化することで、水分子の対流を防止する。このようなことから、比熱が高いので熱容量が大きく、また、対流をなくすことで、熱エネルギーをゆっくりと身体に伝えることができる。このホットパックの熱伝達の特徴を表面温、深部温、皮下血流量を指標として、ホットパック療法の最も適した治療時間を研究したものである。実験は、右下腿部にホットパック療法を30分間行なった時の表面温、深部温、皮下血流量を測定し、その変化から最適な治療時間を求めた。その結果、表面温は、治療開始後18分で最高温度に達し、その後9分間ほぼ同じ温度を保ち、治療終了後徐々に下降した。治療終了後30分においても治療前の温度よりも高い状態であった。深部温は、治療開始後26分で最高温度に達し、治療終了後1分まで同じ温度を保ち、その後徐々に下降した。治療終了後30分においても治療前の温度より高い状態であった。皮下血流量は、治療開始後30分において最高の増加を示し、その後、徐々に減少するが、治療終了後30分においても治療前より増加を示した。また、治療側と反対側の表面温と深部温を同時に測定し、その変化を調べた。その結果、非治療側の表面温、深部温のわずかな上昇をみた。以上のようなことから、ホットパック療法は、20〜30分の治療時間が必要と認められた。また、治療側と離れた部位の温熱刺激を行なうことができることも確認できた。